上海自由貿易試験区では6分野、18業種の投資規制を緩和−国務院が総体方案を発表−

(中国)

上海事務所

2013年09月30日

国務院は9月27日、上海自由貿易試験区の管理政策である「上海自由貿易試験区総体方案」を発表した。同方案では、金融、貿易など6分野、18業種の投資規制の緩和策が規定されており、銀行、インターネット関連サービス、医療などの分野への外資参入制限が部分的に撤廃された。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<改革開放の方向性を探る国家戦略>
国務院は9月27日、「上海自由貿易試験区総体方案」を発表した。同方案の概要は以下のとおり。

(1)位置付け
上海自由貿易試験区で政府機能の転換、新しい経済管理方式の構築、貿易・投資の利便化を試みる。さらなる改革開放の方向性を探るための国家戦略である。

<ネガティブリストの管理制度を構築>
(2)政策内容
○政府機能の転換:a.投資・貿易の管理制度に対し、国際ルールの貫徹と法制化を進め、企業行為の事前審査に力を入れるこれまでの管理制度から事後監督制度へシフトする、b.手続きの一括受理・審査を目指し、各政府部門の共同管理制度を構築する、c.企業活動を監督するための情報収集・評価システムを構築する、d.食品・医薬品の品質管理、知的財産権など市場関連の法律執行体制を完備する、e.行政の透明度を高め、投資家が参加できる、国際ルールに合致した情報公開制度を構築する、f.投資家の権益を保護する制度を構築し、条件を満たした外国投資者に投資収益の自由移転権を与える、g.知的財産権関連のトラブルの仲裁・支援体制などを構築する。

○投資開放:a.6大分野、18業種のサービス業を開放する(開放リストは添付資料参照)、b.外資投資に対しネガティブリストの管理制度を構築し、ネガティブリスト以外の分野では投資の審査制度を廃止し登録制度を実施する、c.区内の中国企業の海外投資に対し、基本的に投資の審査制度を廃止し登録制度を実施する。

○貿易開放:a.多国籍企業のアジア太平洋本部の設立および貿易・物流・決済などの機能を統合する運営センターの構築を促進し、国際決済・融資の自由化、オフショア業務の開放を行う、b.海運運賃指数の派生取引業務、海運・空運の積み替え業務、国際的な船舶登録制度などを促進し、国際的な物流機能をレベルアップさせる。

○金融開放:a.同試験区において、人民元の資本項目の自由両替、金利の市場化、人民元の国境をまたぐ運用を試験的に開放する、b.民間資本と外資に対し、銀行の設立や先物取引などの金融業務を開放する。

(3)税関制度と税制
○税関制度:a.同試験区の国境におけるさまざまな税関管理を撤廃・簡素化し、国際貿易の利便性を高める、b.試験区と国内の他の地域の間の区境を効率よく管理する。

○税制:a.同試験区内の企業・株主に対し、企業再編の際に資産再評価によって生まれた資産の増加分にかかる所得税を5年以内で数回に分けて納付すること、高級人材が企業から譲渡された株式などに対し、所得税を数回に分けて納付することを可能にする、b.輸出増値税の還付など貿易を促進する税制を促進・整備する。

(文涛)

(中国)

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