新投資奨励政策の実施を2015年1月に延期−内容は2013年末までに決定−

(タイ)

バンコク事務所・アジア大洋州課

2013年06月17日

タイ投資委員会(BOI)は、2013年央の導入を予定していた新投資奨励政策の実施を2015年1月1日まで延期する。奨励政策の内容は2013年12月末までに決定される。新政策では、バンコクから離れるほど法人税免税などの優遇措置を手厚くするゾーン制を廃止し、特定業種に対しての奨励を行う予定だ。2013年1〜2月に実施した聞き取り調査などでは、当初案に対して産業界から懸念の声が多数出ていた。

<医療、環境など特定10産業に絞って投資誘致>
投資政策の策定、投資案件の認可や恩典の付与を担うタイ工業省傘下のBOIは5月23日、新投資奨励政策の導入スケジュールについて、2013年12月までに内容を決定して、2015年1月1日から同政策を適用すると発表した(注)。また、ウドム・ウォンウィワットチャイBOI長官も、長官に就任して初来日した5月下旬、東京都内で開催された「日タイ中小企業セミナー」(5月23日)の場で、「新制度の策定は数ヵ月を要する。適用は2015年1月1日からとなる」と言明した。BOIは今後、以下の10産業に絞って投資誘致を行っていく予定だ。詳細な業種については、発表していない。

a.インフラ・物流
b.基礎的産業
c.医療・科学機器産業
d.代替エネルギー・環境サービス産業
e.産業支援ビジネス
f.先端コア技術
g.食品・農産品加工産業
h.ホスピタリティー・ウェルネス産業
i.自動車産業とその他輸送用機器
j.電気・電子産業

BOIは2013年1月中旬の時点で、バンコクから離れるほど法人税免税などの優遇措置を手厚くする現行のゾーン制を廃止する方針を示していた。新たな地方への産業誘致策としては、地方での産業クラスター形成を打ち出しており、国境地帯や各地方の特色に合わせた産業クラスターを形成することを奨励する(2013年1月23日記事参照)

しかし、1〜2月に聞き取り調査を実施した結果、ゾーン制の廃止などに対し、産業界から懸念の声が多数あった。BOIは今回、導入時期を延期することで、日本企業を含めた投資家に対し、新政策に適用するための十分な時間を与えたいとしている。タイ政府は技術力の高い日本の中小企業の誘致を進めていく意向で、今後も日本国内の地方都市での投資誘致セミナーなどで、投資を呼び掛けていく予定だ。

(注)タイBOIプレスリリース:英語(PDF)タイ語(PDF)

(長谷塲純一郎、大久保文博)

(タイ)

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