日本など対象に無期限滞在査証の取得が容易に
メキシコ発
2012年08月08日
日本を含む友好国23ヵ国の国籍保有者を対象とする無期限滞在査証のサブカテゴリーが新設された。大型インフラプロジェクトが相次ぎ、外国人専門家、技術者の査証発給手続きを迅速化することが狙いとみられる。
<23ヵ国の国籍保有者が対象>
パナマの友好国、主要な投資国、経済関係が強固な国とされる日本を含む23ヵ国の国籍保有者を対象とした無期限滞在査証の新しいサブカテゴリーが設けられた。対象はドイツ、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ブラジル、ベルギー、韓国、カナダ、スペイン、米国、スロバキア、フランス、フィンランド、オランダ、アイルランド、日本、ノルウェー、チェコ、スイス、シンガポール、ウルグアイ、チリ、スウェーデンの23ヵ国、これらの国籍保有者は無期限滞在査証を取得しやすくなる。根拠法として、5月21日に公共治安省令343号、6月18日に同省令416号が官報公示された。詳細は施行規則の公布を待たねばならない。
パナマの移民制度には非居住者(観光客、航空機や船舶の乗務員)、一時滞在者、永住者、パナマ共和国の庇護(ひご)の下にある外国人の4つのカテゴリーがあり、今回は永住者のカテゴリーに新しくサブカテゴリーが設けられた。
「ラ・プレンサ」紙(6月11日)によると、パナマ市で建設が進んでいるメトロ(地下鉄)やパナマ運河拡張工事、港湾拡張工事など大規模なインフラプロジェクトで多くの外国人専門家や技術者が必要となり、その査証発給手続きの迅速化が求められていることが背景にあるという。
申請時に最新月の銀行預金残高証明書の提出を求められ、5,000ドル以上の残高が必要となる。
<従来どおり労働許可証は必要>
日本国籍の駐在員が無期限滞在査証を取得してパナマに赴任することも考えられる。ただし、同査証を取得しても労働許可証を別途取得しなければならず、労働法の定めるパナマ人労働者9人に対して外国人労働者1人という労働法の定める原則の対象外とはならない。
ただしこの原則は、パナマ人の配偶者がいること、国際企業の幹部として国外の活動に従事するために雇用された者であること、従業員が10人以下の場合はマラケシュ条約に基づく査証を取得することなどの条件を満たす場合、あるいは多国籍企業本部制度(SEM)、パナマパシフィコ経済特区(PP)などの投資インセンティブを活用する場合は適用されない。特にSEM、PPを活用して査証を取得すれば労働許可証の取得が不要なので利用価値は高い。
現在、駐在員は有効期限の1年の一時滞在査証を取得し、パナマ国外の業務にのみ従事する企業幹部の労働許可証を取得している。無期限滞在査証を取得すると、運転免許証更新の手間を省くことはできるが、労働許可証で一定の条件を満たした場合に免除される所得税や社会保険料はこの査証では免除されない。
(西澤裕介)
(パナマ)
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