認定事業者(AEO)相互承認で米国と合意−2012年7月1日から適用開始−

(米国、EU)

ブリュッセル発

2012年05月11日

EUと米国は5月4日、認定事業者(AEO)制度の相互承認に関する合意文書に署名した。AEO制度の相互承認により、税関当局から貨物のセキュリティー管理と法令順守の体制が整備されていると認定されたEU と米国の事業者は、相手国での通関手続きの際の書類審査や検査の負担が軽減され、安全性を確保しながら貿易の円滑化を図ることができる。2012年7月1日から相互承認が適用される。

<一層の貿易円滑化を図る>
EUと米国は、11年11 月の大西洋経済評議会(TEC)でAEOの相互承認について基本合意し、実施に向けた調整を続けた結果、5月4日にAEO制度の相互承認に関する合意文書に署名した。

AEO制度の相互承認によって双方の認定事業者は、さまざまな通関手続き上のメリットを享受できる。例えば、物理的検査や提出書類の軽減、税関手続きの簡素化などの優遇を受けられ、コスト軽減につながる。一方、税関当局は信頼性の高い取引業者に対する審査を簡素化して業務の効率化を図ることで、よりリスクの高い貨物を重点的に検査できる。

EU・米国は主要な貿易パートナーで、11年の両地域・国間の貿易総額は5,000億ユーロに上る。欧州委員会のアルギルダス・シェメタ委員(税制・関税同盟、監査・不正防止担当)は、今回の合意はEU・米国間の貿易にとって大きな前進になり、双方の事業者の手続きが簡素化され、コスト負担が軽減されることで、さらなる貿易の円滑化が期待できると強調した。

<EU域内の約5,000社を認定事業者として承認>
EUでは08年1月にAEO制度が導入された。EU域内の約5,000社が認定事業者として承認されており、その数は年々増加している。EUはこれまでにスイス(09年7月)、ノルウェー(09年7月)、日本(11年5月)と認定事業者の相互承認を実施しており、米国は4ヵ国目。現在、中国との間でも相互承認に向けた話し合いを進めている。

他方、米国は02年4月から米国への輸入貨物のセキュリティー強化を目的とした「テロ行為防止のための税関・産業界パートナーシップ(C−TPAT)」を運用している。C−TPATは、セキュリティー面のコンプライアンスに優れた輸入者らに対し、検査率の減少などの優遇措置を与える制度で、C−TPAT参加企業にとっては、検査率の減少、検査が必要になった場合の優先的実施などのメリットがある。

(小林華鶴)

(EU・米国)

ビジネス短信 4fab5647a6810