2月のEU失業率、悪化に歯止めかからず−スペインの若年層は50%突破−

(ユーロ圏、EU)

ブリュッセル発

2012年04月05日

EU統計局は4月2日、EU加盟27ヵ国の2月の失業率(季節調整済み)は前月から0.1ポイント上昇して10.2%になったと発表した。ユーロ圏17ヵ国も0.1ポイント上昇し、10.8%だった。国別では、スペインが0.3ポイント上昇して23.6%に達したほか、ポルトガルも徐々に悪化しており、ついに15%を超えた。

<ユーロ導入後の最高値を2月も更新>
EU統計局(ユーロスタット)の4月2日の発表によると、2月のEU加盟27ヵ国の失業率は10.2%で、前月から0.1ポイント上昇し、4ヵ月連続で10%の大台を超えた(表参照)。前年同月比では0.7ポイント上昇しており、徐々に悪化している。

EUおよび加盟国の失業率

ユーロ圏17ヵ国の失業率も前月比0.1ポイント上昇して10.8%となり、ユーロ導入後の最高値を2月も更新した。前年同月比では0.8ポイント上昇した。

<際立つスペイン、キプロス、ポルトガルの悪化>
国別にみると、2月の数値が入手できたEU加盟22ヵ国のうち、前月比0.3ポイント改善のハンガリーと、0.1ポイント改善のオランダ、フィンランド、ルーマニア、スウェーデンの5ヵ国で、前月と比べて失業率が低下した。

他方、9ヵ国で0.1ポイント以上の上昇がみられた。特に0.3ポイント上昇のスペインを筆頭に、イタリア、キプロス、ポルトガル、ブルガリアの4ヵ国がともに0.2ポイント上昇した。また、ルクセンブルク、オーストリア、チェコ、ポーランドの4ヵ国で0.1ポイント上昇した。

スペインの失業率は23.6%と、24%台に突入寸前で、悪化傾向が止まらない。特に、若年層(25歳未満)の失業率は0.6ポイント上昇して50.5%と、遂に50%の大台を超えた。

一方、前年同月比で低下したのは、0.6ポイントのドイツとフィンランドが際立っており、これにオーストリアの0.2ポイント、チェコとスウェーデンの0.1ポイント低下が続いている。

他方、スペイン、キプロス(ともに3.0ポイント上昇)とポルトガル(2.7ポイント上昇)の3ヵ国の悪化が群を抜いている。ポルトガルはついに15%を超え、スペイン、ギリシャに次ぐワースト3の地位を確定的なものにしようとしている。

EU全体としては、緩やかな上昇傾向にあるが、加盟国間で格差が徐々に拡大している。EUにとって「雇用と成長」の促進が緊急課題で、加盟各国での具体的な取り組みが急務だが、財政再建の中で具体策に乏しいのが現状だ。

(田中晋)

(EU・ユーロ圏)

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