一部品目の輸出入ライセンス、ヤンゴンで発給可能に

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2011年10月12日

商業省は、これまで首都ネピドーだけで受け付けていた輸出入ライセンスの申請と発給を、一部の品目について2011年10月7日からヤンゴンでも行うと発表した。これまで貨物の出荷のたびに車で片道5時間をかけてネピドーまで行ってライセンスを取得する必要があったが、移動にかかる負担は大幅に軽減されることになった。

<委託生産加工による縫製品などが対象>
ミャンマーでは輸出入に当たり、その都度ライセンスを事前に取得し、通関の際に提示することが義務付けられている。これまでライセンスの申請と発給は、ネピドーの商業省貿易局だけが窓口になっていた。そのため、ヤンゴンにある企業は、インボイス単位でそのたびにネピドーまで行って商業省に申請し、発給を受けなくてはならなかった。ある日系工場の担当者によると、1週間に数回ヤンゴンとネピドーを往復することも珍しくはないという。そのための人件費やガソリン代などの経費は加工賃にはね返り、改善の必要性が民間企業から指摘されていた。

今回、ヤンゴンでライセンスの発給が可能とされた品目は、委託生産加工(CMP:Cutting, Making, Packing)で輸出する縫製品、靴、レンズ、医療器具などだ。それに加え、豆類、コメなどの一部の農産品は輸出ライセンスだけが許可対象になるもようだ。

<非関税障壁のさらなる緩和を期待>
発給許可に当たっては、これまでどおり商業省貿易局で受け付けた後に輸出入調整委員会(EICC)の審査が必要だが、窓口のヤンゴン支局と本省のネピドーとをオンラインでつなぐことにより、原則として輸出ライセンスについては申請から発給まで1日で対応するといわれている。例えば朝に申請した分は、その日の夕方には許可が出て輸出できるようになる。一方、輸入については、政府が輸出第1政策を掲げているため、輸出よりも厳格に審査され、1日ではなく多少時間がかかりそうだ。

ヤンゴンでのライセンス申請と発給は、市内の旧商業省ビル(現ヤンゴン支局)が窓口になっている。窓口での申請については、事務作業の不慣れなどの問題から、発表されている日数よりも長くかかるなどの混乱が考えられる。そのあたりを含め、最初は発給状況を注意深くみていく必要がある。

商業省は今後対象品目を徐々に広げていきたいと考えているようだ。11年3月30日に発足した新政権の商業相は元ミャンマー商工会議所連盟会頭のウィン・ミン氏が務めており、軍籍のない生粋の民間企業出身のため、こうした取り組みに対して積極的に働き掛けている様子だ。非関税障壁が山積する中、今後ますますの緩和を期待したい。

(水谷俊博)

(ミャンマー)

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