輸入ライセンスの必要な4,405品目から267品目を削除

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2016年08月25日

 商業省は8月8日、輸入ライセンスが必要な4,405品目から267品目を削除する通達(No.60/2016)を出した。機械類や卑金属など輸入の多い品目が中心で、9月1日から適用される。現地進出日系企業からは、申請手続きの負担軽減につながると歓迎する声が聞かれる。

<申請手続きの負担軽減と日系企業は歓迎>

 ミャンマーで貿易業を行うには、まず政府に輸出入者登録を行う必要がある。しかし、委託加工などの製造工程やサービスを伴わない外資の貿易業参入には規制があり、外国企業が輸出入者登録証を取得することは困難だ。たとえそうした規制をクリアし貿易業に参入できたとしても、輸出入のたびにライセンスを取得することが求められる。2011年の民政移管以降、政府は貿易業に関する手続きの簡素化に取り組んできた。同年10月まではヤンゴンでは輸出入ライセンスを取得できず、首都ネピドーまで出向く必要があったが、現在はほとんどの品目について、商業省のヤンゴン支局で申請し取得できるようになっている。

 

 20158月には、それまでの輸入ライセンス取得を必要としない品目の公開から、「輸入ライセンスの取得が必要な4,405品目」の公開に切り替えるなど、規制緩和を進めてきた(2015年8月19日記事参照)。一方、4,405品目の大半は監督官庁の推薦状が必要で、現地日系企業からは「事務的手続きは緩和傾向にあるが、監督官庁の推薦状取得は手間がかかり非効率」とされていた。また、輸入実績がない新規商品の輸入ライセンス取得には相当の時間が必要だった。

 

<一般機械や電気機器を中心に品目削減>

 政府は81日、新政権の経済方針として農業、畜産、工業分野の輸出促進を図り、外国企業が積極的に投資できるようビジネス環境整備を進めると発表。商業省が通達(No.60/2016)を出し、4,405品目のうち267品目を削除することを明らかにした。91日に発効するという。内訳は、一般機械(HSコード84類)や電気機器(85類)などが182品目、鉄鋼製品(73類)や銅・同製品(74類)、アルミニウム・同製品(76類)が44品目などとなっている。

 

 商業省はHSコード単位での貿易統計を公表していないが、2015年のミャンマーの輸入額1位は一般・輸送機械で輸入額全体の34.2%、2位は卑金属・同製品11.6%、4位は電気機械・器具8.3%と、これらの品目で54.1%を占めている(2016年5月23日記事参照)。こうしたことから、今回の通達は輸入が多い品目を中心にライセンス不要の品目を選んだとみられる。

 

 現在、政府は貿易事務手続きの簡素化を積極的に進めている。現地紙も「政府は輸入ライセンス不要の品目をさらに増やす方向で関係機関と調整中だ」と報道している。

 

(堀間洋平)

(ミャンマー)

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