ITAの対象拡大で12月から381品目の関税を撤廃
(韓国)
中国北アジア課
2016年12月15日
政府は、WTOの情報技術協定(ITA:Information Technology Agreement)の対象品目拡大に伴い、834品目の関税を段階的に撤廃することとなった。新たに対象となったのは、半導体製造装置、ディスプレー用フィルムなどのIT素材、顕微鏡、レンズなどの光学・映像機器、心電図関連機器や磁気共鳴画像診断装置(MRI)などの医療機器などだ。12月1日には46%に当たる381品目の関税が撤廃された。
<残る453品目の関税も2023年までに段階的に撤廃>
企画財政部は11月30日、WTOの情報技術協定(ITA)の妥結に伴う、大統領令で定めた譲許関税規程の改正作業が終了し、12月1日から段階的に関税が引き下げられ、7年後には全ての対象品目の関税が撤廃されると発表した。
ITAは1996年に29ヵ国・地域(現在は82ヵ国・地域)で妥結し、コンピュータや携帯電話、半導体など情報技術関連製品の関税を撤廃することになった。翌1997年に発効したが、技術の進展や新製品が登場したことなどから、53ヵ国・地域が参加し対象分野を拡大する交渉が2012年5月から開始され、3年半余りの交渉の末、2015年12月に妥結に至った(2016年8月17日記事参照)。
新たに対象となった品目は、半導体製造装置、ディスプレー用フィルムなどのIT素材、顕微鏡、レンズなどの光学・映像機器、心電図関連機器やMRIなどの医療機器を中心にHSコードの10桁分類基準で834品目になる。このうち46%に当たる381品目は12月1日から関税が撤廃された(表参照)。また44%に当たる365品目については、2019年1月1日から関税が撤廃される。残りの10%を超える品目についても、40品目については2021年1月1日から、48品目については2023年1月1日から撤廃される。
<協定が発効している拡大交渉参加国・地域は44>
企画財政部によると、53の拡大交渉参加国・地域の中で、議会の承認を得て協定が発効したのは韓国(12月1日)をはじめ、米国、中国、EU、シンガポール、タイ、マレーシア、台湾、香港など44ヵ国・地域に上るが、日本、オーストラリア、カナダ、フィリピンなどではまだ発効していないという。
今回の拡大ITAの発効に伴い、韓国では映像・通信機器や部品の輸出拡大が期待されている。一方、IT製品や素材など輸入品目の関税引き下げにより国産品との価格競争が激化すると同部は予想している。
なお、同部によると、今回発効した品目をWTOのITA参加国から輸入する場合には、原産地証明書などを添付しなくてもWTOに基づく譲許関税の適用を受けられるという。
(根本光幸)
(韓国)
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