在留・就労許可の単一申請手続き導入へ

(ベルギー)

ブリュッセル発

2018年03月13日

連邦議会の内務・総務・政府機関委員会は2月28日、EU域外の第三国の国民のベルギーでの在留許可と就労許可を一本化した「単一許可」のための「単一申請手続き」に関する法案を可決した。単一申請手続きはEU指令2011/98に基づくもので、本来であれば2013年中に国内法を整備しなければならなかった。

複雑な行政区分が法整備の遅れの原因に

連邦議会の内務・総務・政府機関委員会は2月28日、EU域外の第三国の国民のベルギーでの在留・就労の両方を許可(「単一許可」)するための「単一申請手続き」に関する法案を可決した。テオ・フランケン難民・移民担当閣外相は声明で「単一許可によって雇用主と労働者双方にとって手続きが簡易になる。さらに、移民のベルギー滞在が合法であるか、労働市場にアクセスし得るか、容易に管理できるようになる」と期待感を表明した。

単一申請手続きはEUの指令2011/98外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づくもので、本来であれば2013年中に国内法を整備しなければならなかった。しかし、連邦制のベルギーでは、第三国の国民の在留許可は連邦政府が管轄する一方、就労許可は経済や雇用に関する政策権限を有する3地域政府(ブリュッセル首都圏、フランダース、ワロン)が管轄しており、調整が難航していた。今回可決された法案には、連邦政府や地域政府で行われる手続きや、コストの分担などを取り決めた国内政府間の「協力合意」が含まれている。

連邦政府は60日以内に在留許可を判断

フランケン難民・移民担当閣外相の発表によると、申請者の居住する地域政府が申請を受理して10日以内に書類に不備がないか審査し、連邦政府の内務省が60日以内に在留許可に関する判断を行うという。同閣外相は「これらの時間は、国内企業の競争力を維持する上で十分に短く、内務省が申請書類を精査するには十分だ」と強調した。

なお、同法案は議会本会議での審議・議決と、官報公布などの手続きを経て施行される。

ちなみに、EU加盟国は、多国籍グループに勤務する第三国の国籍を有する経営管理職と専門家、研修生のEU域内への転勤の枠組みを定めた「企業内転勤(ICT)指令2014/66外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」について、2016年11月までに国内法を整備するよう義務付けられている(注)。ベルギーでは、単一申請手続きに関する法整備の遅れからICT指令についても国内法の整備が滞っているが、単一申請手続きに関する法整備が前進したことで、ICT指令に関する法整備の進捗も期待されている。

(注)ICT指令についてはジェトロ調査レポート「EUの企業内転勤(ICT)指令の概要とEU加盟国一部での実施状況PDFファイル(1.1MB)」(2017年6月)参照。

(村岡有)

(ベルギー)

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