重要インフラ事業者の資産、ロシア政府による一時管理が可能に

(ロシア、ウクライナ)

調査部欧州課

2026年09月02日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は8月24日、重要インフラ施設の安全確保に関する大統領令第604号に署名した。同令は、重要インフラを運営する事業者が必要な安全対策を講じない場合や、安全要件に違反した場合、被害後の復旧が行われない、または遅れた場合などに、同事業者の資産などを一時管理下に置くことを可能にする。一時管理の対象には、事業者がロシア国内に所有する動産・不動産の全部または一部のほか、事業者が保有する有価証券、ロシア法人の持ち分、財産権が含まれる。

ロシアでは、製油所など重要インフラへのドローン攻撃が相次いでいる。8月21日に攻撃を受けたペルミの製油所では、一部の原油処理設備が停止したと報じられた(「ロイター通信」8月24日)。各地の製油所への攻撃で精製能力が低下しており、その結果、ガソリンなどの燃料不足や価格上昇が生じている(2026年7月14日記事参照)。政府は、ガソリン輸出禁止の延長などの対策を講じてきた(2026年8月4日記事参照)。

今回の大統領令は、対象となる重要インフラ施設として、燃料・エネルギー、生産および通信関係施設、公益・交通・物流インフラ施設などに加え、ロシアの安全保障、経済的安定および国民の生活維持にとって特に重要な意義を有するその他の施設などと幅広く定義されており、前述の燃料需給面の対応に加え、重要インフラを運営する事業者の安全対策や復旧体制に政府が直接関与できる枠組みを整えたものと考えられる。

一方、ウクライナでも、ロシアによる企業施設へのドローン攻撃があり、両国のドローン攻撃の応酬が続いている。米食品・飲料大手ペプシコのウクライナ法人は8月30日、前日の攻撃で南部ミコライウ州の生産施設が損傷したと発表し、被害状況の確認と製品供給の復旧を進めている。今後もドローン攻撃の応酬が続くとみられ、ロシア・ウクライナ両国の経済活動への影響も懸念される。

(後藤大輝)

(ロシア、ウクライナ)

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