欧州製薬団体、ライフサイエンス分野のEU予算の拡充や官民連携強化を提言

(EU)

ブリュッセル発

2026年09月18日

欧州製薬団体連合会(EFPIA)は9月1日、2028~2034年までのEUの次期中期予算計画案(MFF、2025年7月22日記事参照)に対する提言を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。競争力強化や投資拡大に向け、ライフサイエンス分野向けの十分な予算を確保し、国際的な卓越した事業への支援や官民連携の強化などを要請した。また、競争力強化に逆行するとして、EU域内で年間純売上高が1億ユーロを超える企業に負担を求める「欧州のための企業リソース(CORE)」の導入に反対した。

次期MFFでは、欧州競争力基金(ECF)と研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ(HE)」(2026年8月4日記事参照)が競争力強化の主要手段として位置付けられた。EFPIAは、両制度において、ライフサイエンス分野向けの予算枠を設け、(1)研究開発から実用化までの支援、(2)国際共同治験の実施環境整備と規制当局の能力強化、(3)データや人工知能(AI)などデジタル技術の活用、(4)患者参画の推進や保健医療制度の強靭(きょうじん)化への投資が必要と訴えた。

また、HEは研究開発、ECFはスケールアップや先端製造を主な支援対象とし、両制度を連動させることで、研究成果の実用化までを継続的に支援する必要があると述べた。その上で、国際的な競争力確保の観点から、EU企業優遇措置や経済安全保障上の制限措置は、例外的かつ対象を絞ったものとすべきと提言した。また、企業による治験や独自データの提供を妨げるような過度の義務付けは避けるべきと主張した。さらにEU資金を受けずにプロジェクトへ参画する企業には、より簡素なルールや義務を適用すべきと提言した。あわせて、ECF・HEのガバナンスの透明性確保や関連政策の一貫性の必要性も指摘した。

さらに、官民連携によって企業が持つ知見やデータなどの活用を進め、公的支援を研究成果のスケールアップや実用化につなげるとともに、官民双方のニーズを反映した体制の構築や柔軟な財政支援ルールの適用を提言した。

EFPIAは8月3日付記事外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、日本の「経済財政運営と改革の基本方針2026」に言及し、特に日本が官民連携フォーラムでの議論を通じ、成長戦略を策定した点がEUにとって参考になると評価。製薬産業はEU最大の貿易黒字を生み出し、欧州経済を支える重要産業であるとして、医療、産業、通商政策を連動させた競争力強化策の策定に向け、欧州委員会、加盟国、産業界が参画するタスクフォースの設置を提唱している。

(滝澤祥子)

(EU)

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