ボリビア、2027年から燃料補助金を完全廃止、財政再建を本格化
(ボリビア)
調査部米州課
2026年09月17日
ボリビア政府は9月10日、IMFとの間で合意した支援プログラム(注)の主要内容を示す「経済・財政政策覚書
」を公表し、2027年から燃料補助金を完全廃止する方針を明らかにした。2027年予算には燃料補助金を計上せず、2027年1月から国内燃料価格を市場価格ベースへ移行する。
背景には、深刻な財政状況の悪化と外貨不足がある。ボリビアでは約20年間にわたり左派政権の下で燃料補助金や社会支出が拡大してきたが、近年は主要な外貨獲得源である天然ガスの生産減少により、外貨収入が落ち込んだ。その結果、2025年の財政赤字はGDP比11%、公的債務はGDP比80%超に達した。加えて、燃料補助金のコスト増加によって財政赤字がさらに拡大する一方、天然ガス輸出による外貨収入が減少する中でも、燃料輸入や対外債務の支払いなどには外貨が必要であり、その不足を補うため中央銀行が外貨準備を取り崩してきた。このため、外貨準備高も大幅に減少した。これにより、国内ではガソリンやディーゼルなどの供給不足も慢性化している。
2025年11月に就任したロドリゴ・パス大統領は、マクロ経済の安定化を優先課題に掲げ(2025年12月22日記事参照)、2025年末から燃料補助金の段階的な見直しを進めてきた。政府は今回の燃料補助金廃止に加え、公務員給与総額の抑制や公共投資の見直しなどを通じて財政再建をさらに進め、財政赤字を2026年にGDP比9.1%、2027年に6.4%へ縮小し、中長期的には2031年に2%程度まで引き下げることを目指している。IMFは今回ボリビア政府と合意した支援プログラムについて、持続可能な成長を支援するものであり、世界銀行や米州開発銀行(IDB)などから総額50億ドル超の追加融資を呼び込む見通しとしている。
一方、燃料補助金の廃止に伴う燃料価格上昇は、食料品価格や輸送コストを押し上げ、国民生活への影響が懸念される。2025年末の燃料価格引き上げ時には、労働者団体や運輸業・鉱業関係者、一般市民らによる全国規模の抗議デモや道路封鎖が発生した(2025年12月23日記事参照)。ボリビア政府も、今回の燃料価格改革が新たなインフレ圧力を生み、社会的不満の再燃を招くリスクがあると認識しており、こうした影響を抑えるため低所得層への社会扶助の拡充や、必要に応じたIMFとの協議による追加対応措置を講じる方針を示している。
(注)IMFの拡大信用供与措置(Extended Fund Facility)に基づく36カ月の支援プログラム。融資規模は約19億ドルに相当する。内容は既にIMFとの間で合意されており、関連する融資承認法案はボリビア議会に提出され、審議が進められている。
(山中真菜)
(ボリビア)
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