ボリビアの炭化水素エネルギー相、燃料価格のデモに対話での解決目指す
(ボリビア、中南米)
リマ発
2025年12月23日
ボリビア政府が決定した経済安定化政策パッケージ(2025年12月22日記事参照)に反対する労働者団体、運輸業・鉱業関係者、一般市民らは12月19日、全国各地でデモや道路封鎖を行った。同日、セルヒオ・メディナセジィ炭化水素エネルギー相はジェトロに対し、政策パッケージの根拠となる大統領令の変更は行わず、対話による解決を目指す方針を明らかにした。
朝の通勤時間帯に道路封鎖されたラパスの目抜き通り(12月19日、ジェトロ撮影)
デモ参加者らの主な主張は、燃料の価格上昇に反対し大統領令の廃止を求めるものだ。大統領令に燃料補助金見直しが明記され、2025年12月8日以降、レギュラーガソリンは1リットルあたり6.96ボリビアーノス(約160円、1ボリビアーノス=約23円)で従来の3.74ボリビアーノスから86.1%増、ハイオクガソリンは11.00ボリビアーノスで同7.22ボリビアーノスから52.4%増となっている。また、ディーゼルは9.80ボリビアーノスで従来の3.72ボリビアーノスの2.6倍の大幅増だ。GNV(自動車用天然ガス)は1立方メートルあたり2.73ボリビアーノスで、これまでの1.66ボリビアーノスから64.5%増と定められている。いずれも半年間の固定価格で、その後の方針は決められていない。
燃料補助金の担当大臣であるメディナセジィ氏は、抗議活動が発生しているが「大統領令の方針を後退させることはない」と明言した。また、大統領令の発令後、バス料金が2倍になったという報道があることをどう受け止めるかについてジェトロが尋ねたところ、「バス料金の決定方法は距離やルートにより異なるが、一般論としてバス料金はタイヤなど消耗品費、人件費など燃料以外の費用も加味して決定されるので、燃料費見直しの決定だけで料金値上げをするのではなく、コスト分析の上、適正な料金を設定すべきだ。価格上昇により、ボリビアで調達した燃料を近隣国へ密輸することを抑制でき、ボリビア経済のフォーマル化につながる。政策パッケージは燃料補助金以外の内容も盛り込まれ、最終的に国民がメリットを得られるので、より広く国民に理解してもらう必要があると考える」とコメントした。
(石田達也)
(ボリビア、中南米)
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