ボリビア大統領が経済安定化政策パッケージを決定、米国は支持を表明
(ボリビア、米国、中南米)
リマ発
2025年12月22日
ボリビアのロドリゴ・パス大統領は12月17日、マクロ経済安定化のための政策パッケージを決定した(大統領令第5503号
)。パス大統領は11月8日の就任式で、疲弊した経済の再生と国際社会への復帰を優先課題に掲げており(2025年11月14日記事参照)、その具体化に向けた方向性が示されている。各項目の担当省庁は30日以内に政策実現向けた法制度、規則などを整備するとともに、経済財政省が全体の進捗管理を行う。
大統領令は全121条で構成されており、第1条「目的」には、国民の生活の質の改善とボリビア経済の再興を図るため、資金流動性、外貨準備、燃料エネルギーの供給、企業の生産投資活動の活性化、雇用環境などの分野で手段を講じると記されている。
企業投資については、法的枠組みを見直す方針を明記した。世界の標準的なルールに沿った法制度を構築することで法的安定性を高めるとともに、内外無差別とし国内外企業が投資判断しやすい環境を整備する。企業投資を戦略的に促進し、ボリビア経済と社会の発展につなげるため重点分野を設定する。具体的には、インフォーマルではない鉱業と冶金(やきん)業、炭化水素・エネルギー、電力、再生可能エネルギー、農業、食品加工業、物流、輸出志向製造業となっている。
国民生活との関わりが大きいテーマでは、パス氏が選挙活動時から掲げていたガソリンなど燃料補助金廃止のほか、全国の最低賃金引き上げ、初等教育に通う子供を対象とする補助金引き上げなどが挙げられている。
ボリビア中央銀行(BCB)の役割と機能の見直しも明記した。パス政権は経済立て直しのため前政権による実質的な固定相場制と外貨規制を改める方針で、中銀が金融市場安定化と為替変動リスクに対応するため、市場介入など必要な措置を講じたり外貨準備の管理を行ったりできるよう組織の規則を変更する。
ボリビア政府の今回の決定について、米国政府は支持を表明した。マルコ・ルビオ国務長官は12月18日、国務省のウェブサイト
に「ボリビア政府が発表した経済改革パッケージは長年の誤った政策で失われた安定性、繁栄、投資を呼び込むものであり米国政府として歓迎する」とのメッセージを掲載した。
(石田達也)
(ボリビア、米国、中南米)
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