米自動車3団体、外国製自動車運搬船への入港料停止措置継続を要請
(米国、中国)
ニューヨーク発
2026年09月07日
米国自動車政策評議会(AAPC)、オート・ドライブ・アメリカ(ADA)、自動車イノベーション協会(AAI、注1)の自動車業界3団体は9月1日、米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表らに書簡を送り、外国製の自動車運搬船(RORO船、注2)に対する入港料の停止措置を継続するよう要請した。RORO船を含む船舶の米国入港に際する入港料の徴収は、中国の造船慣行を対象とした1974年通商法301条調査に基づきUSTRが2025年10月に導入したが(注3)、同月末の米中首脳会談において、2025年11月から1年間の停止が合意された(2025年11月7日記事参照)。USTRが新たな措置を講じなければ、11月10日に再開される予定だ。
上記3団体は、RORO船への入港料について、米国製の乗用車・トラックに「多大かつ不均衡なコスト」を課す一方で、同措置の目的である「米国内での船舶建造の拡大」を達成できないと主張した。また、自動車輸送においては、米国から完成車を輸出した船舶が帰路に輸入貨物を積載する往復航路が重要であり、輸入航海への入港料は米国からの自動車輸出にも直接負担を及ぼすとしている。米国のライトビークル(注4)年間生産量の約15%が輸出されており、その半分は海路で輸出されていることから、輸出量が減少すれば米国の生産量や国内の新車価格に直接的な影響が及ぶ、とみている。
また3団体は、RORO船の入港料が、同じ301条措置の対象となる他の船種より大幅に高く、負担が重いと指摘(注5)し、入港料全体の停止継続またはRORO船の適用除外を求め、いずれも実施しない場合には、少なくとも他船種に対して提案している水準と同等に設定するよう要請した。
一方、301条調査を支持してきた労働組合・造船業界は入港料の再開を支持している。労組や造船業界関係者で構成する米国造船連合(USA Shipbuilding Coalition)のマイケル・ウェッセル会長は、RORO船への入港料は米国製RORO船の建造・利用を促し、米国の造船能力やサプライチェーン、軍事海上輸送能力の強化につながる、と主張した(通商専門誌「インサイドUSトレード」(9月2日)。
(注1)AAPCにはゼネラルモーターズ(GM)など米系メーカー、ADAにはトヨタ自動車、現代自動車、フォルクスワーゲンなどの外国メーカー、AAIにはテスラなどを除く米国で販売するほぼすべての自動車メーカーが加盟。
(注2)Roll-on/roll-off ship(ロールオン・ロールオフ船)の略。自動車など、車両がついた貨物をそのまま積み下ろしできる専用の貨物船。
(注3)中国の海事、物流、造船分野の政策や慣行への対抗を目的に、(1)中国企業が所有・運航する船舶、(2)中国で建造された船舶、(3)米国外で建造された自動車運搬船の米国入港に、サービス料金を徴収する措置を導入した(2025年10月14日記事参照)。
(注4)一般的な乗用車と小型トラック〔スポーツ用多目的車(SUV)、ピックアップトラック、バン〕を指す。
(注5)外国建造のRORO船の入港料は、純トン(船舶内で旅客・貨物を運送するために使われるスペースの容積)当たり46ドルに設定されている(2025年10月16日付USTR官報
)。これに対し、例えば中国建造の一般船は純トン当たり23ドルと設定されている(2025年4月23日付USTR官報
)。
(大原典子)
(米国、中国)
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