イラク、9月積み原油の入札実施、ホルムズ海峡外で引き渡しの条件付す

(イラク)

ドバイ発

2026年09月09日

イラクの国営石油販売会社(SOMO)は8月27日、9月積みのイラク南部バスラ原油について、ホルムズ海峡外のオマーン沖で船舶間積み替え(STS)により買い手へ引き渡す条件の入札を実施した。英国のエネルギー情報会社Argusなど複数の報道機関が報じた。

以前の入札では、SOMOはペルシャ湾奥部のバスラ石油ターミナル(BOT)から本船渡し(FOB)条件で販売する入札を実施しており、買い手側が船舶をホルムズ海峡内まで送り込む必要があった。今回の条件では、買い手側は船舶を海峡内に入れずに原油を受け取れる。

2月末に始まった米国・イスラエルとイランの軍事衝突前、イラクの原油輸出は日量約360万バレルで、うち約340万バレルがバスラからホルムズ海峡を経由していた。SOMOは8月積みのバスラ原油について、海峡内まで船舶を派遣する買い手に1バレル当たり最大約30ドルの値引きを提示していた(2026年8月26日記事参照)。ロイターは8月7日、インドのリライアンス・インダストリーズがイラク原油200万バレルを運ぶ大型原油タンカー(VLCC)を2,300万~2,500万ドルで用船したと報じた。紛争前の用船料は約200万ドルで、船主の海峡進入への慎重姿勢が輸送コストを押し上げていた。

海峡通航を巡っては、8月19日、イラク国民議会議長がイラクを訪問中のイランのモハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長に対し、ホルムズ海峡を通じたイラク産原油の輸出に「特別な地位」を与えるよう要請していた(2026年9月7日記事参照)。

その後、イランのイスラーム共和国通信(IRNA)は8月22日、イランがイラク原油を輸送する一部船舶にホルムズ海峡の通航を認めたと報じた。イラクのニザール・モハメド・サイード・アミディ大統領も同日、イランが直近数日間にイラク原油を積んだ船舶の通航を円滑化したと説明した。一方、イランの特別通航措置とSOMOの海峡外引き渡し入札との直接的な関係は公表されていない。

今回の海峡外引き渡しを巡り、現地メディアRudawがイラク石油省報道官に取材したところ、SOMOは現在、港湾で原油を引き渡し、買い手企業がホルムズ海峡外まで輸送する方式を採用しているとのことだ。一方、石油省は、イラク石油タンカー会社(IOTC)との契約を通じて原油を海峡外まで運び、そこで販売する別方式も計画しているとした。ただし、報道が出た9月5日時点では、引き続き従来の港湾渡し方式が用いられているという。

STS方式でも、イラク産原油は依然としてバスラからホルムズ海峡を経由してオマーン沖へ運ぶ必要がある。ただ、特別通航措置がバスラからオマーン沖までのシャトル輸送船にも適用されれば、海峡通過区間の不確実性を抑える余地がある。IOTCの用船確保と特別通航措置が実運用でどう組み合わされるかが次の焦点となる。

イランなどを巡る地域情勢の関連情報は、イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報を参照。

(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)

(イラク)

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