イラン国会議長がイラク訪問、イラク側は原油輸送に「特別な地位」を要請

(イラク)

ドバイ発

2026年09月07日

イランのモハンマド・バーゲル・ガリバフ国会議長は8月19~21日、議会代表団を率いてイラクを公式訪問した(イラクの独立系通信社「シャファクニュース」8月21日)。代表団はバグダッドでニザール・モハメド・サイード・アミディ大統領、アリー・ゼイディー首相、ハイバト・ハルブーシー国民議会議長らイラク首脳と会談した。会談では2国間の経済・通商協力、国境・安全保障、地域情勢などが議題となった。そのほか、ガリバフ議長は、イスラム教シーア派の聖地であるイラクのカルバラーとナジャフを訪れた。

イラクのハルブーシー議長は会談で地域情勢によってイラクが大きな影響を受けているとして、ホルムズ海峡を通過するイラク産原油の輸送に「特別な地位」を与えるよう要請した。イランのガリバフ議長は、貿易・経済分野を中心とする協力強化と、両国間で署名済みの合意の履行を後押しする考えを示した。

また、ガリバフ議長は在イラク・イラン大使館で両国の企業関係者と会合を開き、経済・通商関係の拡大に向けた明確なロードマップが必要だと指摘した。具体的な仕組みや導入時期は示されていないものの、両国通貨を用いた決済を増やし、米ドルへの依存を減らすことを提案した。また、今後2週間以内にイラク商工会議所の代表団とテヘランで協議し、各分野の経済協力に向けた包括的かつ実務的な行動計画を策定する方針を明らかにした。

これと関連してイラク貿易省も、貿易、投資、運輸、サービス分野の既存合意を具体的な事業に結び付け、国境を越えた物流や民間企業間の共同事業を促進する意向を表明した。同省は、既存の協定・覚書の実施促進に向けて、政府間チャンネルや合同経済委員会を通じてイラン側との調整を継続する方針を示した。

今回の訪問ではイラク国民議会の政治連合勢力「イスラム教シーア派調整フレームワーク(SCF)」の関係者もガリバフ議長と会談した(「シャファクニュース」8月20日)。会談では経済協力に加え、イラク国内の武装組織の武器管理やクルディスタン地域への攻撃など、両国間の懸案事項についても協議されたという。

イラン・イラク合同商工会議所によれば、両国間の貿易は2025年に約120億ドルに達した(「シャファクニュース」8月20日)。今回の訪問は、ホルムズ海峡を巡る混乱と対イラン制裁が続く中でも、両国が経済協議のチャンネルを維持する姿勢を示した一方、具体的な制度や事業の実施は今後の協議に委ねられており、経済面での成果については今後の具体化を見極める必要がある。

イランなどを巡る地域情勢の関連情報は、イスラエル・米国とイランの衝突を巡る中東情勢関連情報を参照。

(大野晃三、オマール・アル・シャメリ)

(イラク)

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