米商務省、回収可能な重要鉱物の輸出制限措置を発表、リチウムイオン電池やタングステンの廃棄物が対象

(米国)

ニューヨーク発

2026年08月07日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は8月6日、ブラックマス(注1)やタングステンの廃棄物などの輸出を制限する暫定最終規則(temporary final rule)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。規則の対象はそれら廃棄物やスクラップを販売する米国人(U.S. Person、注2)で、販売先を原則、米国人のみとするよう義務付ける。米国人以外への販売は、BISが事前に承認などした場合のみ、例外的に認める。これにより、米国外への輸出には実質的にBISの事前承認が必要となる。規則の対象期間は2026年8月27日から2027年8月27日までの1年間(注3)。

ドナルド・トランプ大統領は7月30日、国防生産法(DPA)101条に基づき、国内の回収可能な重要鉱物・材料(CMMs)について、輸出規制を導入する権限を商務長官に与える大統領布告を発表した(2026年8月4日記事参照)。今回の規則はこの布告に基づく。輸出制限の対象となる品目およびその具体的な関税分類番号は、タングステン廃棄物・スクラップ(8101.97.00.00)および電気・電子廃棄物およびスクラップ(8549.13.00.00、8549.14.00.00、8549.19.00.00、ただしブラックマスの定義に該当するもののみ)となる。

官報では、米国人以外への販売に必要な事前承認の対象となるケースとして、(1)米国人向け販売の義務化により、本来であれば他者が被ることがない過度もしくは特別な負担が生じる場合、(2)規則の順守により、CMMsの国内供給減少など、本規則などの目的に反する結果を招く場合、(3)ブラックマスまたはタングステン廃棄物・スクラップを米国外で加工・精製した後に米国に再輸入する場合、(4)規則順守に時間を要する場合を挙げた。なお、事前承認のために14日以内の審査期間を必要とする一方、審査中に暫定承認を与える可能性がある旨もあわせて示した。事前承認のための申請の受け付けは8月6日から開始した。

今回の措置は、トランプ政権が進める重要鉱物の国内供給網強化の一環と位置付けられる。トランプ政権は、重要鉱物の生産能力の拡大(2025年3月24日記事参照)や戦略備蓄の拡充(2026年2月5日記事参照)の取り組みを進めている。また、同盟国・パートナー国とのサプライチェーン構築に向けた、「資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)」などの枠組みも推進している(2026年7月14日記事参照)。

(注1)規則では、正極材料(アルミニウムや銅、鉄、リチウムなどを含む場合がある)、負極材料(グラファイト、シリコン)、またはそのほかの電池セル残留物質を含む、細断されたリチウムイオン電池のスクラップと定義されている。

(注2)規則では、米国に所在する個人や法人、パートナーシップ、協会、そのほかの組織化された集団、またはそれらの法的承継人もしくは代表者と定義されている。

(注3)対象期間終了までにBISが延長などを決定した場合、この限りでない。

(滝本慎一郎)

(米国)

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