EU理事会、対ロシア制裁第21弾を採択、原油価格上限の自動調整を停止

(EU、ロシア)

ブリュッセル発

2026年08月06日

EU理事会(閣僚理事会)は7月23日、第21弾となる対ロシア制裁パッケージを採択した(プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。今回の制裁は、エネルギー、暗号資産を含む金融サービス、貿易、ロシアの軍産複合体に焦点を当てている。

今回の制裁の柱となるのが、第18弾制裁パッケージで合意されたロシア産原油の価格上限(2022年10月7日記事参照)を自動調整する仕組み(2025年7月22日記事参照)の一時停止だ。この仕組みは、ウラル原油の平均市場価格を基準に、上限価格を常に15%低い水準に設定するもので、2027年7月まで停止される。これにより、ホルムズ海峡の閉鎖による原油価格の上昇を反映した上限価格の引き上げを防ぎ、ロシア産原油輸出収入に対する強い下方圧力を維持することを狙う。

重要インフラに対する取引禁止措置の対象も拡大する。対象には、モスクワのシェレメチェボ空港を含む空港4カ所、港湾2カ所に加え、ロシア産原油を処理する第三国の製油所も対象としジョージアのクレビ製油所も含まれる。ただし、同製油所との取引禁止措置については、ロシア産原油からの依存脱却のための6カ月間の猶予期間を設けた後に適用される。

また、原油上限価格規制の回避に利用される「影の船団」に対する、EU域内港湾へのアクセス禁止措置(2024年12月18日記事参照)の対象に41隻を追加した。さらに、制裁対象船舶に補給や燃料供給を行う船舶、またはそれらの船舶から貨物を受け取る船舶についても制裁対象に指定できるようにした。

金融措置では、ロシアの金融機関33行を新たに取引禁止措置の対象に加えた。また、ロシアの決済システムと接続しているモンゴルとキルギスの銀行、およびロシアの銀行のインド支店も対象にした。さらに、制裁回避に関与するロシア国外の暗号資産プラットフォームおよび関連企業14社も対象に加えた。

貿易措置については、ロシアの軍産複合体の弱体化を目的に、輸出制限および輸入禁止措置の対象を拡大した。輸出制限の対象には、ニッケル粉末・金属・合金、ベリリウム粉末、自己接着フィルム・テープが、輸入禁止措置の対象には、銅鉱石、ニッケル鉱石、鉛鉱石、貴金属鉱石、未加工亜鉛、アルカリ金属およびアルカリ土類金属などが追加された。

このほか、制裁回避防止措置の対象として、ロシア企業24社と、中国企業14社およびトルコ企業4社を含む第三国の企業27社を追加した。また、資産凍結などの対象として、過去最大の個人48人と170の団体を新たに追加した。

(吉沼啓介)

(EU、ロシア)

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