食品事業者がノウハウ共有、「北陸の食輸出促進セミナー」開催

(日本)

金沢発

2026年08月13日

北陸農政局、中部経済産業局電力・ガス事業北陸支局、ジェトロ、中小企業基盤整備機構(中小機構)北陸本部は723日、金沢市で「北陸の食輸出促進セミナー」を開催した。同セミナーは、20264月に発足した「日本の食輸出1万者支援プログラム」の活用促進を狙ったもので、地域単位でのセミナー開催は全国で初めて。北陸地域の食品および農林水産事業者など約140人が参加し、北陸三県の事業者による取り組み事例や関係機関による支援施策について理解を深め、ノウハウを共有した。

セミナーでは輸出実績のある北陸地域の食品事業者3社が登壇し、事例紹介を行った。まず、だし製品メーカーのかね七(富山県富山市)は、海外事業にあたって直面した4つの壁(商品、賞味期限、販路、文化の壁)とそれらの克服方法を紹介。同社は「UMAMI-DASHI」など海外向けブランドを作り、既存商品への付加価値を生み出すことで海外に訴求ができる商品の再設計を図りつつ、包装パッケージを改良することで賞味期限延長を実現した。さらにバイヤー商談会や国内外展示会を通しての販路開拓、動画などで、だしの認知拡大に取り組んだ(注)。

水産練り物メーカーであるスギヨ(石川県七尾市)は、国内市場の縮小と激しい競争による利益圧迫の中で、会社として生き残りをかけ海外展開を決意した。その上で「誰に、どう売るか」という営業戦略、「誰が、どう決断するか」という経営者の陣頭指揮、「何を、どう適応させるか」という商品戦略、これらの3つの歯車を連動させることで、米国やアジア向けを中心とした輸出を実現させた。同社は、自社製品の輸出に加え、地域事業者の商品を混載して海外展開する「メーカー発商社」として共同輸出の仕組みづくりも進めている。

最後に酒蔵である田辺酒造(福井県吉田郡永平寺町)は、小規模事業者としての輸出の取り組みを紹介した。従業員5人という家族経営の同社では、代表取締役が輸出業務を担当する中、「自社で対応できる範囲に絞る」ことを重視している。輸出先をアジアに限定するとともに、取引先の選定では規模や販売力だけでなく、和酒に関する専門性やコミュニケーションの取りやすさも重視している。結果、同社は台湾・香港・シンガポールなどを中心に輸出を実現している。

参加者からは、「海外現地で手に取ってもらえる商品にアレンジしていくために、現場のニーズを把握する重要性を認識できた」との意見や、「小さな会社でも輸出に挑戦し今後の経営に生かしたい」などとのコメントが寄せられた。

政府が掲げる2030年までに農林水産物・食品の輸出額を5兆円とする目標の達成に向け、ジェトロでは関係機関と連携しながら事業者支援を行っている。

写真 会場の様子(ジェトロ撮影)

会場の様子(ジェトロ撮影)

(注)同社については、ウェブページにてジェトロ活用事例を公開中。現在では、米国・台湾以外にも世界約24カ国・地域への輸出実績を持つ。

(吉川尚孝)

(日本)

ビジネス短信 aa4371a6e02bea21