フランス、ヒートポンプ向け付加価値税を軽減、脱炭素化と国内産業育成を後押し

(フランス、EU、日本)

パリ発

2026年08月04日

フランス政府は7月18日、一定の条件を満たす空気熱源ヒートポンプ(PAC air/air)に対する付加価値税(TVA)を従来の20%から5.5%へ引き下げた。税率引き下げは2026年財政法第92条に基づく措置で、対象設備の性能基準や環境要件などを定めた7月13日付アレテ(省令)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが17日に公布され、翌18日に施行された。家庭や企業によるヒートポンプ導入を促進し、建築物部門の脱炭素化を進め、国内産業育成を後押しする狙いがある。

軽減税率の対象となるのは、建物に恒久的に設置される固定式の冷暖房兼用(リバーシブル)空気熱源ヒートポンプ。定格出力12キロワット(kW)以下の機種については、モノスプリット型でエネルギークラスA++以上、マルチスプリット型でA+以上の性能が求められる。12kW超の機種は、暖房・冷房に関する一定の季節エネルギー効率基準を満たす必要がある。また、EUのフッ素化ガス(Fガス)規則(2023年10月11日記事参照)に適合した低環境負荷の冷媒を使用し、遠隔操作や遠隔管理が可能なデジタル接続機能を備えることも条件となっている。

フランスではヒートポンプ市場が過去数年で急速に拡大した。政府統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(フランス語)によると、国内販売台数は2016年から2023年の間に2.3倍になった。一方で、住宅建設市場の減速などの影響から、2024年には販売台数が前年を下回り、市場成長が一時的に鈍化していた。こうした状況の下、政府は税制優遇を通じてヒートポンプ需要を下支えする考えだ。

また、政府が2026年4月に発表した電化促進計画(2026年4月20日記事参照)では、ヒートポンプは住宅部門の脱炭素化とエネルギー自立の中核技術と位置付けられている。2030年までに国産ヒートポンプの年間設置台数100万台を目指し、新築住宅へのガスボイラー設置禁止と併せて、年間85テラワット時(TWh)分のガス消費を電力へ転換する方針だ。

こうした中、欧州HVAC(暖房・換気・空調)・給湯分野の大手企業であるフランスのグループ・アトランティック(Groupe Atlantic)は2026年5月、日本のパロマを中核とするパロマ・リームホールディングス(PRH)が、フランス政府の承認を経て同社の過半数株式取得手続きを完了したと発表した。PRHも2025年12月、グループ・アトランティックとの間で同社の過半数株式を取得することで合意したと発表していた。

グループ・アトランティックは「フランス政府の承認に際し、PRHは経済・財務省の要請を受け、フランス国内における戦略的事業の保護に関する具体的な確約を行った。これには、研究開発(R&D)機能や知的財産権の維持に加え、フランス国内でのヒートポンプおよびヒートポンプ給湯器の生産拡大、さらにはグループ・アトランティックの雇用と研修拠点の維持が含まれる」ことを明らかにした。

(山崎あき)

(フランス、EU、日本)

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