米財務省、イランの世界的な資金移動ネットワークに制裁

(米国、イラン)

ニューヨーク発

2026年08月12日

米国財務省外国資産管理局(OFAC)は8月7日、イランの資金調達や制裁回避に関与する13の事業体と5人の個人を、金融制裁対象である「特別指定国民(SDN)」リストに追加外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注1)。国務省も同日、声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

OFACは今回の措置により、イランの地下銀行ネットワーク(rahbar banking system)を通じて数億ドル規模の資金移動を仲介していたとして、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)、香港、シンガポールなど複数国・地域の事業体および個人を制裁対象に指定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、資金洗浄や国際金融システムへの秘密裏なアクセス、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)をはじめとするテロ組織への支援に関与していたとして、2つの暗号資産取引所および違法な仮想通貨取引や制裁回避を助長するネットワークの首謀者にも制裁を科した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。米財務省によれば、多数の企業ネットワークや大規模なオンライン賭博を介して暗号資産を移転し、IRGCやイラン政権関係者の利益のために資金洗浄が行われていたという。

SDNは、米国の制裁対象となる個人、企業、団体などのリストで、OFACが管理する。SDNに指定された個人・事業体は、在米資産の凍結や、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注2)。

財務省は今回のイラン資金調達に関する制裁を、「エコノミック・フューリー(Economic Fury)」の一環に位置付けている。「エコノミック・フューリー」は主に金融システムや海運分野を対象とした経済制裁で、イランによる石油・石油化学製品の販売やそこから得た資金が、軍事作戦などへ分配されることを阻止することを目的としている。財務省は2026年以降、イランの銀行や関連会社、両替業者などを相次いでSDNリストに追加している。財務省のスコット・ベッセント長官は発表で、イラン政権が暗号資産やシャドーバンキングに依存していること自体が「エコノミック・フューリー」が効果を上げている証拠だと述べた。また、イランの地下銀行ネットワークは機能不全に陥り、政権は資金移動の手段を失いつつあるとの認識を示した。米財務省は今後も同様のネットワークを特定して米国金融システムから排除する方針を示している。

(注1)なお、OFACが発表したSDNの更新では、麻薬取引に関係する11件の制裁対象が削除されている。削除理由の詳細は明らかにされていないものの、財務省は米国の経済・外交政策および国家安全保障上の目的に沿った制裁を効果的に実施するため、SDNリストの見直しを進める方針を示している(2026年6月4日記事参照)。

(注2)SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。なお、米国人には、米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、または米国内に存在するあらゆる個人が含まれる。

(清野華蓮)

(米国、イラン)

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