トランプ米政権によるイラン制裁「エコノミック・フューリー」続く、制裁対象リストの更新も
(米国、イラン)
ニューヨーク発
2026年06月04日
米国のトランプ政権は5月27~29日、イランに対する制裁の発動を発表した。財務省と国務省が合計39の事業体・個人・船舶を金融制裁対象の「特別指定国民(SDN)」に指定した(注1)。
2026年2月末に始まった米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」作戦の開始から、約3カ月が経過した。米国は4月中旬以降、「エコノミック・フューリー(経済的な怒り)」と称するイランに対する制裁を複数回発動している(注2)。主に、イランによる石油・石油化学製品の販売や、その収益の軍事作戦などへの分配を支援する金融システムや海運分野の事業体・個人・船舶を制裁の対象としている。直近では5月19日に、イランの資金調達に関連する事業体・個人などをSDNに指定した(2026年5月20日記事参照)。
今回新たにSDNに指定されたのはイラン、中国、インド、アラブ首長国連邦(UAE)などの合計22の事業体、9人の個人、および8隻の船舶だ。財務省と国務省は指定理由として、(1)イランがホルムズ海峡通過を目指す海運業者に課した通航料徴収への関与、(2)既にSDN指定を受けているイランの石油販売関連企業の支援、(3)米国のネットワークセキュリティー関連製品など規制対象物品の調達、などを挙げている。具体的な制裁対象は、財務省外国資産管理局(OFAC)のウェブサイト(27日発動
、28日発動
、29日発動
)で確認できる。
SDNに指定された個人・事業体は、在米資産の凍結や、米国人との間での資金・物品・サービスの取引禁止が課される。また、SDNが直接または間接的に50%以上を所有する事業体も当該制裁の対象となる。なお、ここでの「米国人」には、米国市民、米国永住者、米国法に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、または米国内に所在するあらゆる個人が含まれる。
SDN掲載リスト更新も発表、76の制裁対象を削除
財務省は5月28日、76の制裁対象をSDNリストから削除したと発表
した。今回削除されたのは、死亡した個人や廃棄・退役した船舶などで、対象が「時代遅れ」となっていたことを踏まえ、リストの更新を行ったもの。スコット・ベッセント財務長官は5月19日にフランス・パリで行われたテロ資金対策閣僚会議での演説
で、敵対勢力が制裁に適応する中で、「エコノミック・フューリー」など個別の制裁の目的を達成するためには、その対象を見直し、現代に即したプログラムを構築することが重要だと訴えていた。財務省は、SDNリストへの新規掲載数は2017年の880から2024年には3,000超へと大幅に増加しているとして、今後も米国の経済・外交政策および国家安全保障上の目的に沿った制裁を実施するため、見直しを進める方針を示している。
(注1)財務省は各日にSDN発動に関するプレスリリースを発表した(27日発表
、28日発表
、29日発表
)。国務省は28日にSDN指定に関する発表
とファクトシート
を、29日には財務省によるSDN発動に関する声明
を発表した。
(注2)財務省の発表で、制裁の一環で「エコノミック・フューリー」という言葉が明示的に使われ始めたのは、4月15日付発表
から。
(滝本慎一郎)
(米国、イラン)
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