シンガポール貿易産業省、中国国家原子力機構と協力覚書を締結
(シンガポール、中国)
シンガポール発
2026年08月19日
シンガポール貿易産業省(MTI)は8月17日、中国国家原子力機構(CAEA)との間で、原子力技術の平和利用に関する協力覚書(MOU)を締結した。署名式では、タン・シーレン貿易産業相(エネルギー・産業担当)とCAEAの単忠徳主任の立ち会いの下、MTIのオーガスティン・リー事務次官(エネルギー・貿易担当)とCAEAの劉敬副主任がMOUに署名した。
MTIの同日付プレスリリースによると、今回のMOUは、両国間での能力構築(キャパシティービルディング)の促進を図るものだ。具体的な協力内容として、原子炉技術の安全性・技術評価、人材育成・視察、公共教育・広報・理解促進、原子力安全・保障措置(セーフガード)・セキュリティー、原子力技術の応用などが挙げられている。
シンガポールは現在、発電用エネルギーの9割を輸入天然ガスに依存しており(2023年11月15日付地域・分析レポート参照)、原子力発電を利用していない。しかし、ローレンス・ウォン首相兼財務相が2025年2月に小型モジュール式原子炉(SMR)の導入検討を発表するなど(2025年2月26日記事参照)、近年、電力政策の見直しが進められている。シンガポール持続可能性・環境省(MSE)は2026年5月、将来的な原子力技術の導入可能性を検証するための準備として、2027年から国際原子力機関(IAEA)による統合原子力基盤レビュー(INIR)のフェーズ1ミッションを受け入れると表明した。
シンガポールは現在、原子力分野の能力構築に向け、複数の国との協力を進めている。米国とは2024年7月に原子力協定(通称「123協定」)を締結したほか、フランスとも2025年5月の共同声明で原子力の平和利用に係る相互協力を明言。韓国とは2026年3月にSMRの潜在的な活用に関する共同調査などで合意し(2026年3月5日記事参照)、日本とも2026年3月の首脳会談の際、「戦略的パートナーシップ」への格上げを宣言した共同声明において、エネルギー協力の対象分野に民生用原子力が盛り込まれた。今回の中国CAEAとのMOUも、シンガポールが原子力発電の導入可能性に関して、客観的かつ技術的な評価を行う能力を得るための一環として位置づけられている。
(広木拓)
(シンガポール、中国)
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