インドが国境管理高度化の方針示す、バングラデシュは「押し込み」問題などを懸念

(バングラデシュ、インド)

ダッカ発

2026年07月22日

インドのアミット・シャー内務相は7月18日、西ベンガル州シリグリのインド・バングラデシュ国境を訪問し、全長4キロメートルの国境フェンス建設事業の起工式を行った。併せて、フェンス破壊検知システム、赤外線警報装置、スマートゲート管理システムなどを視察し、デジタル技術を活用して国境管理の高度化を進める方針を示した。

今回の事業は、新たに国境警備隊(BSF)へ引き渡された用地で実施される。インド政府によると、新州政府の発足後(2026年5月8日記事参照)、西ベンガル州では長年停滞していた国境フェンス整備用地の引き渡しが進み、約1,025エーカー(約415万平方メートル)の土地がBSFへ移管された。これにより、約173キロメートルの区間でフェンス整備が進められる見通しだ。インド政府は従来のフェンス整備に加え、人工知能(AI)や各種センサー、通信技術を組み合わせたスマートボーダーの整備を進めている。

他方、バングラデシュでは、インドの国境管理強化について、密輸や不法越境の抑止のほか、人々の往来や2国間関係への影響に関心が寄せられている。2026年6月8~11日に開催のバングラデシュ国境警備隊(BGB)とBSFの長官級会合において、BGBは国境から150ヤード(約137メートル)以内のいかなる建設・開発活動についても、バングラデシュ当局による事前の同意が必要であると強調していた。

また、最近は「押し込み(注)」が大きな問題となっている。西ベンガル州およびアッサム州でインド人民党(BJP)主導の州政府が発足した6月初旬以降、BGBは30件以上のこうした試みを阻止している。また、公式統計でも、2025年5月から2026年1月までの間に少なくとも2,303人がバングラデシュ側へ押し込まれており、中にはインド国籍者126人とミャンマー国籍者38人が含まれていたと発表している。また、バングラデシュは、インド国境地域で反バングラデシュ活動を行う集団について懸念を表明し、必要な措置を求める一方で、インドは、国籍を問わず反乱組織などに対し厳しく対処する立場を示している。

両国は既存の2国間取り決めを順守し、相互信頼と善隣関係に基づく協力の維持で合意しているが、国境問題は2国間関係および連結性の議論に影響を及ぼす可能性があり、動向が注目される。

(注)強制的に国境を越え、人々をバングラデシュに送り込む行為。

(片岡一生)

(バングラデシュ、インド)

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