スイス産業界、米国の301条に基づく追加関税措置によるEUとの差異に競争上の懸念を表明
(スイス、米国)
ジュネーブ発
2026年07月28日
スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は7月24日、米国通商代表部(USTR)が前日に発表した同日からのスイスに対する12.5%の新たな追加関税措置を受けて、同局のスイス・米国貿易関係の情報発信ページ
を更新した。米国の新たな追加関税措置は、1974年通商法301条に基づき、強制労働産品の輸入を禁止していない、あるいは輸入を禁止するために効果的な措置を取っていないことを理由に、スイスに12.5%の追加関税を課すもので、同日が期限となっていた1974年通商法122条に基づく10%の追加関税措置に代わるもの(2026年7月24日記事参照)。ただし、スイスに対しては、既存の一般関税(MFN)率が12.5%未満の場合、MFN税率と追加関税率を合計した上限額が12.5%で、MFN税率が12.5%以上の場合、追加関税率はゼロとなる。そのため、SECOは、多くの品目がこの新たな追加関税の対象外になると説明している。
米国は2026年3月11日と12日、通商法第301条に基づき、スイスに対する2件の調査を開始。1件目の調査は、工業生産における過剰生産能力とその原因に関するもので、2件目の調査は、強制労働によって生産された物品の輸入禁止措置の導入および効果的な執行の不備に関するもの。スイスに加え、複数の国およびEUもこれらの調査対象となっている。スイスは、これらの調査で提起された疑惑を断固として否定し、両調査における疑惑について書面にて反論する意見書(1件目
、2件目
)を提出している。しかし、USTRは2026年6月2日、この2件目に対する調査結果を発表し、今回の追加関税措置に至った。一方、1件目に対する調査結果はまだ発表されていない。また、米国はスイスからの医薬品輸入に最大15%の追加関税を7月31日から課す予定だ(2026年4月3日記事参照)。
スイス機械・電気・金属産業連盟(SWISSMEM)は7月24日、米国の新たな追加関税措置を受けて、EUに適用される関税率よりも2.5ポイント高い関税率がスイスに適用されることから、スイスのハイテク産業が米国市場において、主要な競合企業よりも不利な立場に置かれることに対する懸念を表明している。同時に、現在進行中の過剰生産能力調査の結果により、さらに高い関税が課される可能性も指摘している。また、強制労働の問題に関して、中間製品や部品は強制労働が問題となっていないEUから主に調達していることから、SWISSMEMのジャン=フィリップ・コール副会長兼経済政策責任者は「ハイテク製品は強制労働を使って製造できるものではない」と反論している。さらに、同副会長はEUと比較して不利にならないような、法的拘束力のある米国との協定を求めている。
(田中晋)
(スイス、米国)
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