欧州8団体、CBAMの第三国で支払われた炭素価格に関する実施規則案に疑義を表明
(EU)
調査部欧州課
2026年07月03日
欧州鉄鋼連盟(EUROFER)、ヨーロピアン・アルミニウム、欧州セメント協会(CEMBUREAU)、標準化のための欧州環境市民機構 (ECOS)など8団体は6月18日、欧州委員会が公表したEUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)における第三国で支払われた炭素価格に関する実施規則案
に対し、共同声明
を発表し、疑義を表明した。第三国で支払われた炭素価格を算定する際、国内および国際カーボンクレジット(注1)を含めるべきではないとした。
欧州委は5月13日に同実施規則案を公表し、6月10日までパブリックコンサルテーション(公開諮問)を実施した。CBAMでは、EU域外の生産者が対象製品について域外で既に炭素価格を支払っている場合は、これに対応する費用を差し引き、輸入者が納付するCBAM証書数を削減できる(注2)。実施規則案は、第三国で支払われた炭素価格をCBAM証書の納付義務から削減(控除)する算定方法、支払いの証明、独立した認証者の資格と独立性を確認するための条件などを定めるもので、6月中の採択を目指している。
共同声明では、EU排出量取引制度(EU ETS)ではカーボンクレジットが認められておらず、第三国の生産者のみがクレジットによってCBAMにおける負担軽減を認められれば、EU域内と域外で不公平が生じ、CBAMの目的である公平な競争環境を損なうと指摘。国内クレジットには質的・量的な要件が設けられておらず、第三国における排出削減を促進する効果についても懸念が生じるとした。また、CBAMの対象を川下製品に拡大し迂回を防ぐ改定案(2025年12月19日記事参照)の審議において、パリ協定に基づくカーボンクレジットの取り扱いについて議論されている中、実施規則によって先んじてカーボンクレジットに関する規定を導入することは、法的・制度上の懸念があるとした。
(注1)再生可能エネルギー導入、森林管理など温室効果ガス(GHG)排出を削減・抑制するプロジェクトをクレジットとして認証し、そのクレジットを売買するもの。クレジット市場には国際機関、政府・自治体、民間事業者によるものなどがある(2021年9月15日付地域・分析レポート参照)。
(注2)詳細は、ジェトロ調査レポート「EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)の解説(基礎編)(2024年2月)」参照。
(川嶋康子)
(EU)
ビジネス短信 d3e13d7f67075b72





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