EU、鉄鋼セーフガード後継措置が7月1日から適用開始、関税割当量の配分を発表
(EU、ブラジル、日本)
ブリュッセル発
2026年07月13日
EUの新たな鉄鋼輸入制限措置に係る規則〔(EU)2026/1384〕
が7月1日、適用開始となった(2026年4月17日記事参照)。実施にあたり、欧州委員会は6月30日、26品目の関税割当量の配分に係る実施規則〔(EU)2026/1457〕
を発表した(プレスリリース
)。同実施規則は緊急立法手続きにより採択され、7月1日から12月31日までの最長6カ月間適用される。欧州委は2026年末までに再度、実施規則案を加盟国に送付し、通常のコミトロジー手続き(注)を経て採択する予定。
関税割当量は年間約1,830万トンとし、このうち50%(915万トン)をEUと自由貿易協定(FTA)を締結している国(締結予定国も含む)向けに確保する。残る50%は、FTA締結国を含む全ての国が利用できる共通枠とする。いずれにおいても、2022~2024年のEU輸入市場におけるシェアが5%以上の国に対しては、品目別の国別割当量を設定する。国別枠の対象とならない残余分(residual quota)は申請順に配分される。
欧州委はEUが輸入する鉄鋼製品の8割を占めるFTA締結国を優遇することで、新措置の効果を維持しつつ、締結国への影響を最小限に抑えたとした。また、GATT第28条交渉を通じ、多数の国と割当量に関し暫定合意したとし、引き続き交渉を継続する方針を示した。現地報道では、トルコやインド、ブラジルなどと合意したと報じられた。しかし、ブラジル外務省は7月1日付の声明で合意を否定。過剰生産の原因ではない国を対象に輸入制限を課すことは、根本的な解決にはならないと、EUを批判した。なお、日本やベトナムとも合意に至っていない。
新措置導入を受け、欧州鉄鋼連盟(EUROFER)のカール・タシェレ副事務局長は7月1日付の論評
で、域内の鉄鋼需要が急激に減少する中、WTOルールにのっとり無関税枠が自動的に拡大する従来のセーフガード措置は有効性を失っていたと指摘。新措置は、域内生産や脱炭素化投資を維持可能な水準に輸入量を抑制し、域内産業を効果的に保護する仕組みだと強調した。措置の実効性確保に向け、輸入動向の監視や適切な関税割当の管理、迂回輸出の抑止の必要性を挙げた。また、輸入が鉄鋼を多用する川下製品へ転換することを防ぐため、将来的には川下製品を措置の適用範囲に含めることを検討すべきとした。さらに、国際的な連携強化が過剰生産問題の長期的な解決策となると訴えた。
(注)実施規則の採択にあたり、加盟国の代表者によって構成される委員会が草案について採決する手続き。
(滝澤祥子)
(EU、ブラジル、日本)
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