米主要港、5月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比10.1%増、輸入の早期化が鮮明に

(米国)

ニューヨーク発

2026年07月14日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(7月8日)によると、5月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は、前月比10.1%増、前年同月比14.9%増の224万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となった(注2)。ただし、前年同月からの大幅な増加は、2025年4月にドナルド・トランプ大統領が相互関税を発表した「解放の日(Liberation Day)」の影響で、前年の輸入量が急減したことが大きく寄与している。

今後の見通しでは、6月は前年同月比18.7%増の233万TEUと予測した。これにより、2026年上半期の累計取扱量は前年同期比2%増の1,277万TEUに達する見通し。その後7月は、同3.3%増の247万TEUと、新型コロナウイルス禍からの経済回復期だった2022年5月の240万TEUを上回り、月間の過去最高を更新する見通しだ。一方、8月以降は減少傾向に転じる見込み。8月が前年同月比4.5%減の222万TEU、9月が同5.7%減の199万TEU、10月が同3.8%減の199万TEU、11月が同5.2%減の192万TEUと予測している。この結果、2026年は5~7月が年間のピークとなる見通しだ。従来、米国の物流の繁忙期は10月ごろが中心だったが、近年の港湾労働争議のリスクや関税引き上げへの警戒感を背景に、貨物の早期輸入による前倒し傾向が一段と鮮明になった。

NRFのサプライチェーン・税関政策担当バイスプレジデント、ジョナサン・ゴールド氏は、イラン情勢によるサプライチェーンへの影響も踏まえ、「8月からの関税引き上げリスクや貿易環境の不透明感に備え、小売業者や輸入業者による輸入が早期化し、ピークは7月まで続く見通し」と述べた。米国が2月に導入した1974年通商法122条に基づく10%の輸入課徴金(2026年2月24日記事参照)が7月24日に期限を迎える一方、トランプ政権は強制労働産品を対象とする新たな追加関税措置を課すとの見通しが背景にある(2026年6月3日記事参照)。小売業者の間では、既に活発化している新学期商戦に加えて年末商戦も見据え、新たな関税による価格高騰の前に国内在庫を確保する動きが顕著だという。ゴールド氏はまた、「逆風下でも個人消費は堅調だが、価格の手頃さが消費行動を左右する重要なカギを握っている」とも指摘した。

民間調査会社のデカルト・システムズ・グループによると、6月の米国コンテナ輸入は前年同月比8.2%増となり、特に中国発の輸入が27.4%増と突出した。背景には、NRFの指摘同様、中東情勢の緊迫化や7月の運賃上昇をにらんだ前倒し輸入に加え、関税リスクがあるという。足元の消費意欲は底堅いものの、消費者の価格志向は強まっており、8月以降の関税や運賃の動向が、製品の価格を通じて消費にどのような影響を与えるかが注視される。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(注2)発表されている貨物量のTEUと前年同月比の数値は端数処理の関係で一致しない場合がある。

(樫葉さくら)

(米国)

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