ラオス財務省、2025年版「債務報告書」を公表

(ラオス)

ビエンチャン発

2026年07月03日

ラオス財務省は6月30日、2025年版「公共・公的保証(PPG)債務(注1)報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を公表した(2024年7月5日記事参照)。

報告書によると、PPG債務残高の名目額は2023年の139億ドルから、2024年末には141億ドル、2025年末には143億ドルへと微増した。増加の主な要因は、為替換算の影響(注2)によるものとされる。一方、対GDP比は、力強い経済成長と厳格な債務管理を背景に、2023年の109%から2024年には94%、2025年には84%へと大幅に低下した。

PPG債務残高のうち、ラオス政府が直接借り入れる公的債務(政府保証分を除く)は、新規借り入れが厳しく制限されていることから、2022年以降おおむね120億ドルの水準で推移している。一方、政府が戦略的に重要と位置付ける国有企業(SOE、注3)に対して新たな政府保証を付与したため、政府保証債務は2023年の17億9,704万ドルから、2024年には19億3,343万ドル、2025年には21億15万ドルへと増加した。

2025年の対外債務返済額は、タイ市場および国内市場で発行された政府債券の大規模な償還が集中したことから、15億7,050万ドル(前年比61.4%増)に急拡大した。一方、主要債権者(注4)による元本・利息の返済繰り延べ措置が継続され、2025年には5億4,000万ドル相当の支払いが猶予された。この結果、2020~2025年の累積猶予額は28億6,000万ドルに達した。

報告書では、ラオス中国鉄路の23億8,055万ドル、発電事業を手掛けるEDL発電(EDL-GEN)の6億9,038万ドルを含む総額32億5,228万ドルの非保証SOE債務にも言及している。これらは政府保証の対象ではないものの、国有企業の経営が悪化した場合には政府が支援を迫られる可能性があり、偶発債務(注5)となるリスクがあるとしている。財務省は体系的なモニタリングを実施するとともに、SOE改革を積極的に進めるとしている。また、対外公的債務の返済負担は今後も高水準が続く見通しだ。2026~2030年の対外債務返済額は年間平均14億5,000万ドルに達し、このうち2026年には21億ドルを超える支払いが見込まれている。

ラオス政府は2030年までに、PPG債務残高の対GDP比を70%まで引き下げることを目標に掲げている。その実現に向け、規律ある借り入れ、非債務性資金の活用、偶発債務の抑制(注6)を進めることで、マクロ経済の安定化と信用格付けの改善を目指す。さらに、近く包括的な中期債務管理戦略を策定し、より効果的な借り入れ計画の運用を進める方針を明らかにした。

(注1)Public and Publicly Guaranteed(PPG)debtの略。中央政府債務(対外公的債務と国内公的債務)に加え、政府保証が付された国有企業債務が含まれる。

(注2)ラオスの対外債務は、米ドル建てが55.3%を占めるほか、IMF・特別引出権(SDR)15.8%、タイ・バーツ14.2%、中国・人民元8.9%、韓国ウォン2.4%、日本・円1.4%などで構成される。このため、米ドルがこれらの通貨に対して下落した場合、米ドル換算の債務残高は増加する。

(注3)ラオス電力公社(EDL)は2025年末時点で20億1,700万ドル(前年比8.8%増)の政府保証を受けており、政府保証債務総額の96.0%を占める。

(注4)世界銀行などは、主に中国がラオスに対して債務返済猶予を供与していることを明示している(2023年12月12日記事参照)。

(注5)法的な返済義務は政府にないものの、事業規模の大きさや国家的な重要性から、債務者が財務的困難に陥った場合に政府が支援を求められる可能性がある債務。

(注6)「規律ある借り入れ」として経済性の高い優先プロジェクトへの資金配分や低コスト資金の活用、「非債務性資金の活用」として財政黒字の活用、SOEからの債権回収、資産民営化、「偶発債務の抑制」として新規政府保証の制限や制度・法的枠組みの強化などが含まれる。

(山田健一郎)

(ラオス)

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