オープン・イノベーション展示会「ビバテック」がパリで開催
(フランス、ドイツ、日本、米国)
パリ発
2026年07月09日
欧州最大級のオープン・イノベーションとスタートアップの展示会「ビバテック2026」が6月17~20日に、フランスのパリで開催された。第10回となる今回、主催者発表では来場者数が20万人を超え、165カ国から1万5,000社を上回るスタートアップが参加した。
今回、注目のテーマは、人工知能(AI)、クラウド、サイバーセキュリティー、半導体、量子コンピューティング、防衛といった分野全般での欧州の自律を目指す「技術主権」で、特にAI分野では業務への実装に関しても議論された。展示会に先立ち、セバスチャン・ルコルニュ首相はAI分野への追加投資や、フランス政府が利用するAI分析基盤を、米国のAI企業からフランスのチャップ・ビジョン(ChapsVision)が提供する基盤に移行することを発表した(2026年6月19日記事参照)。会期中は、フランスとドイツによるデジタル政策の協力枠組み「Franco-German Forum for the Future」(注1)の再始動や、LVMHグループが自社システム用クラウドのプロバイダーにフランスのスカルウェイ(Scaleway)を選択したことの発表などがあり、AI基盤の構築における欧州協調と技術主権確立に向けた動きが見られた。そのほかの分野では、ジェフ・ベゾス氏と米国のブルーオリジンに加え、欧州企業のエクスプロレーション・カンパニー(The Exploration Company)やマイア・スペース(Maia Space)といった「欧州宇宙主権」における有力企業が登壇し、商業宇宙飛行や欧州の技術力について発信した宇宙分野、ロレアルやサムスンが長寿やウェルビーイング分野における取り組みを紹介したヘルスケア分野などが注目された。
日本からは、地方自治体7団体、スタートアップ37社および大企業2社が参加し、「JAPAN VILLAGE」を出展。出展企業の分野は、AI、気候テック、ヘルスケア、ロボティクス、バイオ・素材など多岐にわたった(出展企業一覧は添付資料参照)。特設ステージでは、ピッチやパネルセッションを開催。出展企業・自治体のみならず、フランスとの協業を目指す日本企業や、ジェトロのJ-StarX Europe Long-term Program (France)に参加するスタートアップも登壇し、自社事業やニーズについて紹介。さらに2026年10月に大阪で開催されるスタートアップ展示会「Global Startup Expo
」の紹介セッションも行われた。
桜の花びらをモチーフにしたJAPAN VILLAGEの特設ステージでのピッチ(ジェトロ撮影)
ジェトロは複数のサイドイベントも開催した。まず、ユーラゼオ(Eurazeo)、ジョルト・キャピタル(Jolt Capital)といった有力ベンチャーキャピタル(VC)と連携し、欧州のVC、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)と日本のスタートアップとのコネクション形成支援を目的としたミートアップを実施し、120人以上が参加した。
活況を呈したミートアップイベント(ジェトロ撮影)
また、ジェトロのJ-Bridge事業(注2)の一環として、日本の大手企業6社(DNP Europa、フジタ、富士通、OKI Europe、三菱重工業、ソフトバンク)によるAI、サステナビリティー、ディープテック分野のリバースピッチを開催した。各社は、スタートアップや研究機関との連携・投資を見据え、自社の事業課題の解決や事業拡大に資する革新的な技術・ソリューションの提案を参加者に募った。
リバースピッチイベントでの質疑応答(ジェトロ撮影)
参加したスタートアップからは、「欧州・南米・アフリカなど、多数のビジネスコンタクトを獲得した」「欧州の投資家や業界関係者とのネットワーク構築につながった」「欧州VCの視点を学ぶことができた」といった評価が寄せられた。
次回のビバテックは2027年6月16~19日に開催される。
(注1)2019年1月、仏独協力の一層の深化を目的として締結したアーヘン条約(Aachen Treaty)第22条に基づく枠組み。デジタル主権に関する共通アジェンダの実施および発展を促進するべく再始動した。
(注2)日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープン・イノベーション創出のためのビジネスプラットフォーム。
(鈴木七海、大野裕太郎)
(フランス、ドイツ、日本、米国)
ビジネス短信 b3ed35f7c1673416





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