欧州5団体、欧州競争力基金に関し提言、産業界の意思決定参加などを要請

(EU)

ブリュッセル発

2026年07月29日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)など欧州の5産業団体は7月22日、EUの2028~2034年までの次期中期予算計画(MFF、2025年7月22日記事参照)案に関連し、産業支援プログラム「欧州競争力基金(ECF)」について共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会のMFFに係る交渉が本格化する中、86団体が7月7日に研究開発支援予算の拡充を求める(2026年7月17日記事参照)など、産業界から積極的な産業支援策の実施を求める声が相次いでいる。

本声明は、EUには確実な経済効果を創出し、民間投資のリスク低減や革新的な事業への資金動員を可能とする野心的な助成メカニズムが必要と訴え、ECFは「研究開発成果の実用化を後押しする重要な財政支援策」と位置付け、具体的な提言を行った。

まず、ECFにおいて(1)戦略的投資の優先分野の特定、(2)技術・市場の変化への対応、(3)産業界のニーズに即した支援ツールを策定するため、産業界との継続的な対話・連携を強化すべきと述べた。例えば、欧州委員会が提案したECFの全般的な方向性などについて助言する「戦略的関係者委員会」には、産業界が参画可能とし、部門横断的な知見に基づき意思決定が行われる必要があると述べた。

次に、研究成果の実用化・スケールアップを円滑に進めるため、ECFと研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ(HE)」を連携させるべきとした。例えば、(1)ECFとHE共通の優先課題に対応する統合的なプログラムの策定、(2)HEの助成事業の成果のスケールアップや産業実装化へのインセンティブ拡大を要請した。また、研究機関・企業・投資家・エンドユーザー間の連携促進や、ECFの事業評価において、民間投資の動員を重視することも提案した。

さらに、技術革新のスピードに対応するため、企業の申請負担の軽減や助成決定の迅速化が必要と訴え、(1)申請手続きや窓口の統一、(2)技術・市場動向の変化に応じて、採択事業の目的を維持しつつ、事業者が資金配分の優先順位を柔軟に見直せるようにすること、(3)事業者の報告要件の簡素化などを提言した。審査期間については、次期HEでは最長7カ月と提案しているが、ECFも含め、より迅速に決定するよう要請した。

このほか、ECF(4,508億ユーロ)およびHE(1,753億ユーロ)の予算額については、欧州委案の維持を求めた。また2028年から開始できるよう、競争力強化とイノベーション創出を重視したかたちで、EU理事会と欧州議会が早期に合意するよう要請した。

(滝澤祥子)

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