次世代輸送の研究開発に8億Sドル、自動化やデジタルツインに注力

(シンガポール)

シンガポール発

2026年07月13日

シンガポールのジェフリー・シオ運輸相代行は7月7日の国会で、次世代輸送技術の研究開発(R&D)に向こう5年で8億シンガポール・ドル(約1,000億円、Sドル、1Sドル=約125円)を投じると発表した。このうち、約3分の2を、輸送分野の自動化とデジタルツイン(仮想空間に現実世界を再現する技術)の開発に充てる。

今回の予算は、2030年3月までの5カ年R&D計画「研究・イノベーション・エンタープライズ2030年計画(RIE2030)」に基づく(2025年12月12日記事参照)。輸送分野向けの8億Sドルの予算規模は、過去5年間の予算規模の2倍以上に相当する。シオ運輸相代行は、「この資金を用いて、現行の輸送の在り方を根本から変革する」と述べた。

自動化では、陸海空にわたる輸送管理の省人化に向け、人工知能(AI)、ロボティクス、自律型プラットフォームを組み合わせた技術開発を進める。また、自動運転や無人航空機システムの実証・認証の整備を行う。さらに、ロボティクスや身体性AI(Embodied AI)を活用した貨物積み替えの自動システムの開発にも取り組む。

デジタルツイン技術については、陸海空の貨物と旅客の動きを可視化し、一元的に管理・予測するシステムを構築する。これにより、物流全体の効率化を図る。また、気象データに基づく航空機の遅延予測や、道路交通の混雑などの情報を基に、交通網の混乱への早期対応を可能にする計画だ。

残る約3分の1の予算は、陸海空それぞれの分野に特化した研究に充てる。航空分野では、AIを活用した航空機運航の最適化による飛行時間と二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指す。また、航空管制官の負担軽減のためのAI対応の意思決定ツールの開発など、急増する旅客や貨物需要に対応する。

海事では、自動港湾運営システムやスマート船舶などの開発に取り組む。また、2050年までのCO2排出をネットゼロとする目標達成に向けて、クリーンな代替燃料への移行を支援する予定だ。陸上輸送では、大量高速鉄道(MRT)の次世代技術の開発が焦点となる。AIやセンサー技術を活用して、MRTの保守・点検や修理作業の自動化を進める。

(本田智津絵)

(シンガポール)

ビジネス短信 a1c12573d7825f7f