2026年上半期の台湾の対外直接投資額は前年同期比94.1%増、TSMCの大型投資が牽引
(台湾)
調査部中国北アジア課
2026年07月30日
台湾経済部投資審議司が7月15日に発表した統計によると、2026年上半期(1~6月)の対外直接投資額(中国大陸を含む、認可ベース)は前年同期比94.1%増の366億5,814万ドルとなった(添付資料表参照)。このうち、中国大陸向けを除く対外投資額は98.0%増の362億5,780万ドルだった。一方、中国大陸向け投資は30.3%減の4億34万ドルとなり、対外投資総額に占める中国の割合は前年同期の3.0%から1.1%に低下した。
投資額順に国・地域別でみると、1位は英領中米(主にケイマン諸島、バージン諸島)で308億4,513万ドル(シェア84.1%)、2位は米国で14億9,364万ドル(同4.1%)、3位はシンガポールで10億4,563万ドル(同2.9%)、4位はベトナムで4億3,244万ドル(同1.2%)、5位はタイで4億2,685万ドル(同1.2%)だった。日本は9位で1億4,307万ドル(同0.4%)だった。
英領中米向けの投資は、半導体ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の大型投資が牽引した。TSMCは300億ドルを英領バージン諸島のTSMC GLOBALに増資した。理由は為替ヘッジ費用を低減するためとしている。
米国向けでは、サーバー事業強化に向けた増資案件が引き続き目立った(注1)。緯穎科技服務(ウィウィン)が米国子会社に対し5億ドルを増資し、高密度サーバーおよびストレージ設備の販売などの事業を強化する。そのほか、英業達(インベンテック)が3億500万ドルを米国持株会社に増資し、その資金を米国のINVENTEC(USA)とメキシコ子会社へ再投資して、サーバーやコンピュータ製品の組み立て事業を拡大するとした。
日本向けでは、TSMCが2026年3月、日本子会社のJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)の投資計画変更について投資審議司から認可を取得した。市場や顧客の需要に対応するため、生産プロセスを3ナノメートル(nm)製品へ変更するとともに、生産能力を12インチウエハー月産1万5,000枚とするとした(注2)。設備導入および量産開始は2028年を予定している。同社は7月16日に開催した2026年第2四半期(4~6月)決算説明会において、台湾、米国アリゾナ州、日本でそれぞれ3nm工場を追加するグローバル計画を着実に実行していると言及した。
なお、7月にはTSMCによるTSMCアリゾナへの200億ドルの増資について投資審議司が承認していることから、2026年通年ベースでは、米国向け投資額の大幅増が見込まれる。増資資金はアリゾナ州での12インチウエハー工場や先進パッケージング工場の建設に充てられる(注3)。
(注1)台湾EMSなどのサーバー産業の生産拠点配置の動向については、調査レポート「変化する通商環境と台湾EMS産業の生産拠点配置およびサプライチェーン移転に関する調査(2026年4月)」および2026年4月13日付地域・分析レポート参照。
(注2)熊本第2工場では当初、2027年末から自動車や工業および消費製品、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)など向けの40nm、22/28nm、12/16nm、6/7nm製品の生産を計画していた。また、第1工場と第2工場を合わせた生産能力は12インチウエハー月産10万枚超を予定していた(2024年2月9日記事参照)。
(注3)TSMCは2025年3月に米国アリゾナ州への1,000億ドルの追加投資計画を発表しており(2025年3月4日記事参照)、今回、投資審議司が承認した増資案件は同計画の一部とみられる。なお、2026年7月16日にはTSMCが米国における先端半導体製造および先端パッケージング事業向け投資を追加で1,000億ドル積み増し、総投資額が2,650億ドルに達すると発表した(2026年7月22日記事参照)。
(早川麻理)
(台湾)
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