XTCニューエナジー、マレーシアに正極材料工場建設、海外展開を加速

(中国、マレーシア、フランス)

広州発

2026年07月07日

中国・福建省アモイ市を本拠地としてリチウムイオン電池用正極材料を製造するXTCニューエナジーマテリアルズ(以下、XTC)は6月26日、マレーシアでの生産拠点建設を董事会で決議し、公告した(注)。投資総額は約6,458万ドルで、2026年9月に着工し、2027年6月の完成を予定する。

公告によると、同社は香港に全額出資子会社を設立し、同子会社を通じてマレーシアの金属加工企業Established Metal Industries(EMI)と合弁会社を設立する。合弁会社の資本金は約4,520万ドルで、XTCが90%、EMIが10%を出資する。EMIは、マレーシア・セランゴール州に所有する土地に工業用建屋を建設し、合弁会社に賃貸する。合弁会社は工場用建屋の内装改修および設備投資を行い、年産1万トンの生産ラインを整備する計画としている。

XTCは今回の投資について、新エネルギー産業の拡大に伴い、顧客企業の正極材料のサプライチェーンの多様化に対するニーズが高まっていることを背景に挙げている。また、地政学リスクや貿易摩擦の影響でサプライチェーンを地域単位で完結させる動きが進展する中、世界の新エネルギー材料企業にとって、海外生産能力の確保が重要になっていると指摘する。同社はマレーシアへの工場建設投資を通じ、海外顧客に近接した供給体制を整え、長期的な戦略的協力関係の強化や海外からの新規受注獲得につなげる狙いがあるとしている。中長期的には収益力の向上と国際競争力の強化に寄与するとの見方を示している。一方で、同社は本プロジェクトについて、海外投資に伴う許認可取得の遅延や、建設の遅延、為替変動などのリスクがあるとしている。

なお、XTCはフランスの原子力燃料大手のオラノと合弁で、フランス北部ダンケルクに年産4万トンの正極材料工場を建設する計画を進めており、5月29日に正式に着工した。同社は欧州、東南アジアと海外展開を加速している。

(注)XTCはマレーシアで生産するリチウムイオン電池用正極材料について、「三元系材料、コバルト酸リチウムなど」としており、フランス案件については、「三元系材料」と発表している。なお、中国商務部は2025年7月15日に改正を公表・即日施行した「輸出禁止・制限技術目録」において、輸出制限技術に一定の条件を同時に満たす電池用リン酸鉄リチウム(LFP)製造技術、電池用リン酸マンガン鉄リチウム(LMFP)製造技術、リン酸塩正極材製造技術を輸出制限技術の対象に追加した(2025年7月22日記事参照)。

(西村京子)

(中国、マレーシア、フランス)

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