中国、輸出禁止・制限技術目録を改正

(中国)

北京発

2025年07月22日

中国商務部は7月15日、「対外貿易法」「技術輸出入管理条例」の規定に基づき、科学技術部とともに、商務部公告2025年第28号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて「輸出禁止・制限技術目録」の改正を公表し、即日施行した。本改正は1月2日から2月1日まで意見募集を行っていた(2025年1月14日記事参照)。本目録に含まれていない技術は輸出自由技術に該当し、他の法令などで制限されていない限り、輸出契約ベースの登記管理を前提に輸出が認められる(注1)。

今回の改正では、輸出禁止技術ならびに輸出制限技術の「中国伝統建築技術」および輸出制限技術の「建築環境制御技術(注2)」が目録から削除された。他方で、化学原料および化学製品製造業における「電池正極材製造技術」が輸出制限技術に追加された。これは一定の条件を同時に満たす、電池用リン酸鉄リチウム製造技術、電池用リン酸マンガン鉄リチウム製造技術、リン酸塩正極材製造技術としている。またその他に、「非鉄金属製錬技術」における規制要点の修正が行われた(注3)。

商務部と科学技術部は同日、記者会見を実施し、今回の改正の背景について「商務部と科学技術部は2001年に本目録を公布し、2008年、2020年、2023年に改正を行ってきた(2023年12月28日記事参照)。目録の調整は中国の技術発展の状況の変化に対応し、技術貿易の管理を改善するための具体的な措置であり、国家の経済安全保障と発展の利益を守り、国際的な経済技術協力を促進することを目的としている」と説明した。また、「技術輸出とは貿易、投資、経済技術協力を通じ、中国から海外に技術を移転する行為を指す。技術移転を行う企業は関連法にのっとり、輸出許可や契約登録の関連手続きを行う必要がある。商務部は管理措置のさらなる最適化を図り、輸出許可・契約登録手続きを改善し、より多くの公共サービスプロダクツを提供し、企業がコンプライアンス順守を徹底できるよう指導を行っていく。また、技術発展の状況や管理実務の要求の変化に応じ、目録の臨機応変な調整を今後も行っていく」と述べた。

(注1)両用品目・軍需品・核などに関連する技術の輸出については、輸出管理法とその下位法令に基づき輸出管理が行われる。

(注2)規制要点は、「プラスマイナス0.01度の精度で一定の温度に制御する技術」とされている。

(注3)規制要点の第2項目「アルミナ製造過程において、種液を用いて母液からガリウムを回収する溶解法工程」が「イオン交換法、樹脂法などによりアルミナ母液から金属ガリウムを抽出する技術と工程」に修正された。また、規制要点の第9項目にリチア輝石リチウム抽出・炭酸リチウム生産技術、第10項目にリチア輝石リチウム抽出・水酸化リチウム生産技術、第11項目に金属リチウム(合金)およびリチウム材調製技術、第12項目にかん水リチウム抽出技術、第13項目にリチウム含有浄化液調製技術が追加された。

(亀山達也)

(中国)

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