日本のスタートアップEco-Pork、スペイン食肉加工大手との養豚DX実証実験の進捗を確認

(スペイン、日本)

マドリード発

2026年07月02日

日本の農業技術(AgTech)スタートアップ、Eco-Pork外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、スペイン南部の食肉加工企業FACCSA(Frigoríficos Andaluces de Conservas de Carne)と、人工知能(AI)カメラを活用した養豚管理システムの実証実験を進めている。ジェトロは同社エコとFACCSAを6月10日に訪問、その状況を確認した。FACCSAの施設では現在、搬入口でのAIカメラ設置に向けた準備が進められている。スペインでは2025年11月にアフリカ豚熱(ASF)の発生が確認され、日本向け豚肉の輸出が停止している(2025年12月8日記事参照)。輸出の再開を待つ中、Eco-Porkの技術は、スペイン養豚生産者の管理コスト削減につながるとして期待されており、今回の訪問において実証実験の進捗を確認した。

Eco-Porkは2017年に設立。AIカメラとハードウエア、ソフトウエアを組み合わせ、養豚の飼育から出荷までのデータ管理・最適化を手掛け、データカンパニーとして養豚DXを推進する。2026年2月発行の会社資料によれば、クラウド管理プラットフォーム「Porker」は日本国内の養豚農場で市場シェア約15%を持ち、農場の生産性を年7%向上させており、農家の売り上げ改善効果は約79億3,000万円にのぼるという。

写真 Eco-Porkの製品とAIカメラ画像(Eco-Pork提供)

Eco-Porkの製品とAIカメラ画像(Eco-Pork提供)

FACCSA1941年創業の食肉加工企業で、マラガ県に本拠を置く。週25,000頭の豚を処理し、生産の55%を主にアジア市場に輸出している。両社の接点は、ジェトロが実施したJ-StarX Climate Techコース(欧州)で、バレンシア大学のメンターがEco-PorkFACCSAを引き合わせたことだった。

写真 Eco-Porkの沼澤祐介氏、リカルド・フロッチャー氏とメンターのイスマエル・バレス氏(左から沼澤氏、バレス氏、フロッチャー氏)(Eco-Pork提供)

Eco-Porkの沼澤祐介氏、リカルド・フロッチャー氏とメンターのイスマエル・バレス氏(左から沼澤氏、バレス氏、フロッチャー氏)(Eco-Pork提供)

今回の実証実験では、FACCSA施設の搬入口における頭数カウント作業を対象とする。FACCSAでは現在、搬入トラックごとに作業員が目視で頭数を確認し、計量器での計測値と照合する体制をとっている。Eco-PorkのAIカメラは、この人手によるカウント作業の事前照合チェックとして機能する設計だ。カメラがトラック搬入時に頭数を自動集計することで、その後の処理ライン上での頭数のずれや問題の早期発見につながり、管理コストの削減が見込めるという。日本国内の実証事業では、同様のシステム導入により出荷日数の短縮や飼料要求率の改善などの効果も確認されている。

FACCSAは自社施設に加えて契約農場約50社を持ち、Eco-Porkのシステムをこれら契約農場へ展開する可能性にも関心を示している。対日本市場はFACCSAにとって豚肉の重要な輸出先で、同社責任者は、DXの文脈で日本とビジネスを継続できる非常に重要なプロジェクトだとの考えを示した。

写真 FACSSAにて(ジェトロ撮影)

FACSSAにて(ジェトロ撮影)

Eco-Porkはまた、スペイン白豚生産加工者協会(INTERPORC)と在スペイン日本大使館主催のセミナーにも参加し、製品・サービスを紹介した。同セミナーを通じて、セゴビア市を拠点とする養豚関連企業との新たな接点なども生まれており、スペイン北部での導入可能性についても今後協議が見込まれている。

写真 在スペイン日本大使館でのイベント風景(ジェトロ撮影)

在スペイン日本大使館でのイベント風景(ジェトロ撮影)

(加賀悠介)

(スペイン、日本)

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