拡大する防衛投資、英政府、4年間で総額2,980億ポンドの計画を発表

(英国、日本、イタリア)

ロンドン発

2026年07月09日

英国政府は6月30日、防衛投資計画(Defence Investment Plan、DIP)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2029年度までの向こう4年間で総額2,980億ポンド(約64兆700億円、1ポンド=約215円)を防衛分野に充てる計画で、2025年6月の歳出見直し(2025年6月13日記事参照)比で150億ポンドの追加投資を含む。なお、英国政府はDIPについて、拡大する防衛投資の使途を議会や国民、産業界に示すことを目的としたものであり、英国の防衛予算や能力の全てを示すものではないとしている。

DIPは「軍の変革」「英国の防衛産業支援」「英国のリーダーシップ強化」の3つの主軸からなり、陸海空の自律兵器、サイバー分野、宇宙分野などへの投資のほか、防衛産業の育成や退役軍人支援など多岐にわたる内容を含む(詳細は添付資料表1参照)。これらには、日本、英国、イタリアが次世代戦闘機開発において協力する「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」への86億ポンドの投資も含まれる。また、分野別(詳細は添付資料表2参照)では、人材・退役軍人や核防衛にもっとも多くの予算が充てられた。

DIPは当初、2025年秋の発表を予定していたが、防衛費増額に要する財源確保の議論や増額規模を巡る政府内調整が難航し、延期を繰り返していた。2026年6月11日のジョン・ヒーリー元国防相の辞任の背景とされるのは、DIPの政府案における防衛予算が十分でないことが原因とされ、当時の政府案は135億ポンドの増額で、国防省が求めていた280億ポンドを下回っていたという(6月11日付BBC)。同氏の辞任を経て、後任のダン・ジャービス国防相の下で150億ポンドの増額とすることで決着した。防衛費増額を要する背景には、NATOが2025年6月の首脳会議で合意した、2035年までに各加盟国の防衛費をGDP比3.5%とする目標へのコミットメントがある。キア・スターマー首相はDIPの発表に際し、各省庁からの支出を再配分することで財源を賄うと発言し、道路やエネルギー分野など、重要だが当面の緊急性が高くない一部のプロジェクトは、当初の計画どおりには進められなくなると述べた。また、次回の歳出見直しで、NATO目標の達成に向けたさらなる防衛費引き上げを最優先課題とするべきだと発言した。

欧州航空宇宙防衛産業協会(ASD)は同日、声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、「英国の防衛産業が最も得意とする分野、すなわち英国の国家安全保障を強化する装備、能力、およびサービスの提供を後押しするもの」と評価した。また、「重要なのは、NATO目標に向けた明確かつ実現可能な道筋を通じて、この勢いをいかに維持していくかだ」と述べた。

(齊藤圭)

(英国、日本、イタリア)

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