JERA、米「ブルーポイント」事業向け燃料アンモニア輸送船の長期用船契約を締結

(米国、日本)

ヒューストン発

2026年07月03日

日本の国内外で燃料調達から発電・販売までを一貫して担う総合エネルギー企業のJERA(本社:東京都中央区)は6月18日、燃料アンモニア輸送船4隻の長期定期用船契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。日本郵船グループのシンガポール法人エヌワイケイ・バルクシップ・アジア〔NYK Bulkship(Asia)〕および商船三井との間で、各社2隻ずつの契約だ。3社は2022年11月、燃料アンモニア輸送に関する覚書を締結しており(2022年11月28日記事参照)、2025年12月の基本条件合意を経て、今回の正式契約に至った。

輸送対象となるアンモニアは、JERAが世界最大のアンモニアメーカーであるCFインダストリーズ(本社:米国イリノイ州ノースブルック)および三井物産と共同で開発する「ブルーポイント(Blue Point)」プロジェクトの下で生産される。同プロジェクトは、年間約140万トンの低炭素アンモニアを生産する世界最大級の工場を米ルイジアナ州アセンション郡に建設し、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)技術を活用して年間約230万トンのCO2を回収・貯留することで、製造時のCO2排出量を95%以上削減する計画だ。2025年5月に最終投資決定(FID)を行い、2029年の生産開始を予定している。

使用される船舶は積載容量約8万7,000立方メートルの大型ガス輸送船(VLGC)で、川崎重工業が建造し、2027年上半期の竣工(しゅんこう)を予定している。JERAによると、輸送コスト低減に向けた大型化の一環として、VLGCサイズの船舶がアンモニア輸送に長期従事するのは世界初となる。日本に輸送されたアンモニアは、JERAが2029年度にアンモニア混焼率20%で大規模商用運転の開始を計画している碧南火力発電所(愛知県碧南市)で利用される。

ブルーポイントは、2022年のインフレ削減法(IRA)により拡充された米国の炭素回収クレジット〔内国歳入法(IRC)45Q〕(注1)の適用対象となる見込みだ。また、JERAと三井物産は2025年12月、日本政府が初めて実施した水素社会推進法に基づく価格差支援制度(注2)の支援対象にも採択されている。これにより、米国ではCO2の回収・貯留に対する税制優遇が、日本では低炭素アンモニアと既存燃料との価格差に対する支援が得られる予定。アンモニアは燃焼時にCO2を排出しない次世代エネルギーとして期待されており、発電用途に加え、船舶燃料や水素キャリア(注3)としての活用が期待されている。

(注1)地下に永久貯留されたCO2の量に応じて税額控除を付与するもので、賃金・見習い要件を満たした場合には1トン当たり最大85ドルの税額控除〔直接空気回収(DAC)技術を利用する施設は最大180ドル〕が適用される。

(注2)低炭素水素・アンモニアと既存燃料との価格差を支援する制度で、事業者に対し最大15年間、基準燃料との価格差を補填(ほてん)する。

(注3)水素を大量かつ効率的に輸送するための媒体。

(松岡彩)

(米国、日本)

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