韓国政府が「2026年下半期経済成長戦略」を発表、2026年の成長率見通しは上方修正

(韓国)

ソウル発

2026年07月21日

韓国政府は7月14日、「2026年下半期経済成長戦略」を発表した。本戦略では、2026年の実質GDP成長率見通しを年初の2.0%(注1)から3.0%に上方修正した上で、潜在成長率3.0%・輸出世界4位・国民所得5万ドルを意味する「3・4・5ビジョン」を国家成長目標として提示した。「代替不可能な大韓民国」へ飛躍するという構想だ。

本戦略は、(1)中東情勢悪化後の戦略、(2)潜在成長率の回復、(3)構造的問題への対応という3大分野を柱とした。具体的な内容は次のとおり。

(1)中東情勢悪化後の戦略(主なもの)

  • マクロ経済の安定的な運営:「未来対応基金」(注2)の新設、高物価・ウォン安・高金利への対応強化、若年層を中心とした住宅供給の拡大。
  • K-サプライチェーン・エネルギーの自律性確保:戦略物資の国内生産基盤強化および備蓄拡大、再生可能エネルギー普及およびエネルギー基盤強化(注3)、主要国との経済協力拡大。

(2)潜在成長率の回復(主なもの)

  • グローバルな圧倒的優位性を生む成長エンジンの育成:半導体・フィジカルAI(人工知能)・AIデータセンターなど3大メガプロジェクトの推進(2026年7月2日記事参照)、「超格差成長動力」(注4)の育成、研究開発体制と政策金融の見直し。
  • 地方主導の成長強化:「5極3特」成長戦略の本格的推進、創業都市の拡大、公共機関の地方移転推進、観光活性化政策(「半額旅行事業」や宿泊割引券など)の拡大、財政・税制・公共調達の地方優遇強化。

(3)構造的問題への対応(主なもの)

  • 二極化の克服:AIの雇用への影響に先制対応(「産業転換・雇用基本計画」の策定など)、若者の負担(雇用、住居、結婚、出産など)軽減に向けた総合的支援、「みんなの起業プロジェクト」(注5)を通じた起業基盤の整備、成長性の高い中小企業の支援強化(中堅企業への成長を支援)、伝統市場・商店街の育成支援、特殊雇用労働者の保護策を策定(「働く人の権利基本法」の制定推進など)。
  • 構造革新に本格着手:資本市場と金融を生産的投資中心に転換、不動産金融を実需中心に再編(投機目的融資を抑制)、AIに基づく国家資産管理体制を構築、少子化対策(児童手当の支給対象拡大など)と人材確保(海外の優秀人材2,000人誘致など)のための政策拡大、年金をはじめとした多層的な老後所得保障体制の構築、産業現場や国民生活全般の安全管理基準を強化。

(注1)1月9日に発表した「2026年経済成長戦略」では、2.0%の実質GDP成長率見通しを掲げていた(2026年1月14日記事参照)。

(注2)半導体景気の回復などにより生じる追加税収を財源に、若者の支援や将来の成長動力、地方の均衡ある発展、人材育成に集中投資するための新しい基金。

(注3)小型モジュール型原子力発電所(SMR)、バッテリー、次世代太陽光など未来のグリーン産業の研究開発などに対して今後10年間で790兆ウォン(約82兆9,500億ウォン、1ウォン=約0.105円)規模の政策金融を投入。

(注4)製薬・バイオ分野、防衛産業分野、宇宙・航空分野などにおける成長基盤の確保。

(注5)韓国政府が実施する国民参加型の創業オーディションで、テック分野およびローカル(地方産業)分野を育成することを目的に2026年から開始。

(橋爪直輝)

(韓国)

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