韓国政府、経済成長率2%を目指す「2026年経済成長戦略」を発表

(韓国)

ソウル発

2026年01月14日

韓国政府は1月9日、「2026年経済成長戦略」を発表した。727兆9,000億ウォン(約80兆690億円、1ウォン=約0.11円)という大規模な予算(2026年予算、前年比8.1%増)を投じ、経済成長率2%達成とともに、半導体・防衛産業・人工知能(AI)などの重要戦略産業でグローバル強国へ躍進する目標を提示した。本年を「経済大跳躍の元年」とする考えだ。

本戦略は、(1)マクロ経済の積極管理、(2)潜在成長率の引き上げ、(3)国民均衡成長、(4)大跳躍の基盤強化の4大分野を柱とする。それぞれの具体的な内容は次のとおり。

(1)マクロ経済の積極管理

  • 景気の活性化:積極的なマクロ政策による総需要管理、消費・投資・輸出の部門別活性化(注1)
  • 物価安定:生活物価の安定、庶民の生活費負担の軽減
  • リスク管理:外国為替市場の安定、不動産市場の安定、金融システムの安定

(2)潜在成長率の引き上げ

  • 国家戦略産業の育成:K-半導体「世界2強」への跳躍(注2)、防衛産業「世界4大強国」への跳躍、バイオ産業育成、主力産業(石油化学、鉄鋼)の競争力底上げ
  • 超革新経済の実現:AX(AI・トランスフォーメーション)(注3)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、超革新経済15大先導プロジェクト(注4)、R&Dイノベーション、デジタル資産の制度化、経済大飛躍マスタープランの策定
  • 戦略的なグローバル経済協力:戦略的な対米投資、通商環境の変化への対応、経済安全保障の強化
  • 生産性の高い金融:先端産業への金融支援、国内株式への長期投資促進、ウォン国際化ロードマップ策定およびMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)先進国指数組み入れ推進
  • 人的資本の最大化:科学技術人材の育成、少子化対策、海外人材の戦略的活用

(3)国民均衡成長

  • 地方主導成長:地方産業・インフラおよび大学の革新(注5)、地方投資・消費の促進、地方別の傾斜配分・優遇措置、社会的連帯経済の活性化
  • 包摂的な成長:大・中小企業の共生・公正成長、ベンチャー・創業活性化、小規模事業者の競争力強化、若年層への支援、中高年の雇用促進および老後所得保障、低所得層支援
  • 安全が前提となる持続可能な成長:産業安全への投資拡大、労働市場の二極化の解消
  • 文化が率いる魅力ある成長:K-カルチャー産業の育成、K-観光3,000万人時代の早期達成

(4)大跳躍の基盤強化

  • 規制改革:先端・新産業の規制改善、企業規模別の規制適正化、経済刑罰の合理化(注6)
  • 積極的な国富創出:韓国型国富ファンドの新設(20兆ウォン規模)、国有財産の管理強化、国債の効率的管理およびWGBI(世界国債インデックス)
  • 財政などの構造改革:財政運用・支出構造の刷新、税制イノベーション(滞納管理、非課税・減免の整備)、調達行政・公共機関の改革

(注1)自動車の個別消費税引き下げ措置の6月末までの延長、電気自動車への転換補助金として最大100万ウォン支給などを含む。

(注2)大統領直属の「半導体産業競争力強化特別委員会」の立ち上げ、国民成長ファンドを活用した4兆2,000億ウォンの支援などを含む。

(注3)実物経済へのAI実装「フィジカルAI」の育成も盛り込まれており、ロボット、自動車、船舶、家電など7大分野を集中支援することとしている。

(注4)先端素材・部品や気候・エネルギー・未来対応、バイオやコンテンツ分野などにおける個別15大プロジェクト(2025年8月27日記事の添付資料参照)

(注5)首都圏一極集中の状態を、5つの広域経済圏と3つの戦略特化地域(5極3特)へと転換するため、各地の「成長産業」を選定し「成長産業特別補助金」を導入することや、成長産業の規制特例と政策を提供する「メガ特区」制度の新設などを含む。

(注6)企業活動を制限する刑罰規定のうち30%削減することを目標とし、特に経済界から要望が大きい「背任罪」の改善策を上半期中に策定予定。

(橋爪直輝)

(韓国)

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