モンゴル、5月のCPI上昇率は前年同月比11.2%、中銀は政策金利を据え置き
(モンゴル)
北京発
2026年07月10日
モンゴル銀行(BOM、中央銀行)は6月23~24日に開催した定例通貨政策決定会合で、経済・金融市場の現状や外部環境のリスクなどを踏まえ、政策金利を年12.0%に据え置くと発表した。BOMは2025年3月以降、政策金利を据え置いている(2025年3月13日記事参照、添付資料図参照)。
BOMは現状のモンゴル経済について、次のとおり分析している。
国内のインフレ状況については、燃料価格と食料価格の高騰(注1、注2)を背景に、ここ数カ月でインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率、前年同月比〕は加速、し、5月時点で全国平均11.2%、ウランバートル市では11.0%に達した。一方、コアインフレ率は、鉱業以外のほとんどのセクターで活動が低調であることを反映し、穏やかな水準にとどまっている。今後のインフレ率は、主に供給側の要因、特に気象条件と地政学的状況に左右されるとした。
経済成長と各産業の動向については、2026年第1四半期のGDP成長率は前年同期比7.9%に加速し(2026年6月8日記事参照)、主に鉱業と運輸部門の力強い成長が牽引したという。一方、他の部門の活動は低迷しており、2026年は鉱業生産の増加と大規模プロジェクトの継続的な実施が成長を支える主要因になると予想されるほか、今後数年間は、非鉱業部門の緩やかな回復が経済活動を支えると見込まれるとした。
中東紛争の影響については、紛争の影響から原油・エネルギー価格が高騰し、世界的なインフレ圧力が強まっているとする。モンゴル最大の貿易相手国である中国の経済成長は予想を上回り、成長見通しが改善した一方で、他の国々では原油価格の高騰が経済活動の重荷になると予想されるため、経済成長見通しは弱まっているとした。また、国際市場における金と銅の価格は予想を上回っており、モンゴルの輸出に有利に働いているという。
その他、年間インフレ率は、主に供給側の要因により、一時的に目標範囲を超えているが、今後、食肉と燃料価格の上昇が徐々に収まると予想されるため、インフレ率は中期的に目標範囲に戻ると予測されるとした。一方で、牧草地の状況、家畜疾病の発生、中東やロシア・ウクライナ紛争を含む地政学的動向に関連する不確実性により、二次的な影響がより顕著になり、供給主導のインフレ圧力が長期にわたって続く場合、インフレ圧力は予想以上に高まる可能性があると総括した。
BOMの金融政策委員会は、一連の金融政策について、過度なインフレのリスクを防ぎ、2027年以降のインフレ率を3~7%の範囲に収めるというBOMの目標と一致しており、中期的にマクロ経済と金融セクターの安定を支えるものであると位置付けている。また、インフレの動向、供給側の要因、国内外の経済状況の変化に応じて、今後も適時に必要な政策措置を講じていくとした。
(注1)モンゴル国家統計局の6月17日の発表によると、2026年5月の生産者物価指数(PPI、速報値)は前年同月比25.2%上昇(前月比0.4%上昇)となった。このうち、鉱山業・採掘業が19.0ポイント(寄与率75.5%)を占めた。これには、鉱山業・採掘業の主要原価であるディーゼル燃料(軽油)が47.4%上昇したことが主に影響した。
(注2)国家統計局によると、5月に肉類の価格が前年同月比で46.7%増となった。これには、牛肉(54.6%増)と羊・ヤギ肉(53.4%増)の価格上昇が主に影響した。肉類の価格上昇の原因として、ウランバートル市の備蓄肉の準備および配給に不祥事があったと報じられている(「News.mn」5月16日)。これに関連して、ニャムオソル・オチラル首相は5月16日、ウランバートル市のヒシゲー・ニャムバータル市長を解任した。
(藤井一範)
(モンゴル)
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