米マサチューセッツ州で量子技術カンファレンス「Quantum.Tech World 2026」が開催
(米国)
ニューヨーク発
2026年07月09日
米国マサチューセッツ州で6月25~26日、量子技術分野の国際カンファレンス「Quantum.Tech World 2026」が開催された。イベントには企業、スタートアップ、研究機関、政府関係者、投資家らが参加し、量子コンピューティングの活用事例や開発動向、産業連携の取り組みなどが紹介された。イベントを通じて、量子技術が研究開発段階から実用化・事業化に向けた取り組みへと移行しつつある現状が示された。
初日のセッションでは、英国コンサルティング会社アーンスト・アンド・ヤング(EY)と英国国立量子コンピューティング・センター(NQCC)が実施した調査結果が紹介された。調査は英国企業500社を対象としており、企業が量子技術の重要性を認識する一方、具体的な導入計画を進めている企業は依然として限定的であることが報告された。2日目には、量子技術の産業応用事例が紹介された。米国のザパタ・クウォンタムは、量子コンピューティングと人工知能(AI)を組み合わせた創薬研究について説明し、がん関連遺伝子KRAS(注1)に有効な新規候補物質の探索事例を発表した。富士通の米国法人である富士通研究所は、日本の産業技術総合研究所(AIST)の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)へ商用量子コンピューターを納入したことを紹介したほか、量子コンピューターと高性能計算(HPC)を組み合わせた計算基盤の開発について説明した。
Quantum.Tech World 2026の様子(ジェトロ撮影)
6月25日には、在ボストン日本総領事館主催の「日米量子技術レセプション(Japan-U.S. Quantum Technology Reception)」も開催された。日米両国の政府関係者、研究機関、企業関係者ら約60人が参加し、量子技術分野における国際連携や産学官協力の強化に向けて交流を深めた。髙橋誠一郎総領事は、同総領事館によるJ-NEXUS
の取り組みを紹介するとともに、量子技術分野における日米間の連携強化や国際的なエコシステム構築の重要性を強調した。続いて、ポール・ダバー米商務省次官は、研究機関と産業界の連携拡大への期待を示し、マサチューセッツ州技術サービス・セキュリティー執行事務最高データ責任者のジャナク・ジョシ氏は、レガシーシステム(注2)からAI活用に向かう局面における触媒こそが量子技術だとして、日米間のイノベーション、商業的協力の重要性に言及した。
レセプションの様子(在ボストン日本総領事館提供)
イベントに先立つ6月22日には、米国政府は、量子技術における米国のイノベーション促進および国家安全保障を強化するための大統領令
を発令した。また同日、国家の機密データ、重要インフラ、デジタル経済に対する暗号保護を強化するための大統領令
も発するなど、米国の量子技術に対する政策導入が加速している(2026年6月24日記事参照)。量子分野の経済安全保障の確立において、日米間のさらなる協業連携が求められる。
(注1)細胞に増殖指令を出すスイッチ役のタンパク質をつくる遺伝子のこと。
(注2)主に古い技術や仕組みで構築され、保守や改修が困難になった情報システムのことを指す。
(堀米美帆、遠藤壮一郎)
(米国)
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