サウジアラビア財務省、IMFの第4条協議報告書を歓迎
(サウジアラビア)
リヤド発
2026年07月31日
サウジアラビア財務省は7月29日、IMFが同日公表した「2026年サウジアラビア第4条協議報告書
」について、中東の地政学的緊張に直面する中でも同国経済の強靭(きょうじん)性を確認した内容だとして歓迎した。
同報告書によると、サウジアラビアの実質GDP成長率は2025年に4.6%となった。OPECプラスによる協調減産の緩和と堅調な国内需要が成長を支え、非石油部門も4.2%成長した。一方、2026年は中東情勢による貿易や石油輸出への影響を受け、全体の成長率は1.7%、非石油部門の成長率は2.6%へ減速すると見込んだ。IMFは、ホルムズ海峡の海上交通が正常化し石油・非石油部門の活動が回復することを前提に、2027年の成長率を5.5%と予測している。
また、同報告書は、日量700万バレルの輸送能力を持つ東西パイプライン(2026年4月28日付地域・分析レポート「中東物流におけるサウジアラビアの役割」参照)を通じて、国営石油会社サウジアラムコが原油輸送を紅海側のヤンブー港へ振り替えたことを評価した。これにより石油輸出への影響は限定され、原油価格の上昇が輸出量減少の影響を上回った結果、2026年の石油収入を押し上げる要因になったと指摘した。
財政面では、非石油一次赤字(石油収入を除いた財政赤字)が2024年の非石油GDP比24.5%から2025年は23.3%へ縮小し、IMFは2026年も22.2%への改善を見込んだ。サウジアラビア中央銀行(SAMA)の純対外資産は2025年末時点で4,366億ドルに達し、輸入約14カ月分に相当する十分な水準を維持。公的債務についても持続可能であり、政府財政に関するリスクは低いと評価する。金融部門は、銀行部門が高水準の自己資本と十分な流動性を維持していると評価。2025年の総自己資本比率は20.5%、不良債権比率も総貸出残高の1.0%と過去10年間で最低水準まで低下した。
IMFは、サウジアラビアの国家改革戦略「サウジ・ビジョン2030」の開始から10年を経て、制度改革の強化、経済多角化の進展、民間部門の役割拡大、女性の労働参加率向上などの成果がみられると評価した。さらに、人工知能(AI)については、行政サービス、医療、教育、フィンテック分野を中心に導入が進んでおり、今後10年間で実質GDPを最大6%押し上げる可能性があるとの試算を示した。また、中期的な成長維持と経済多角化の実現に向け、財政健全化と「サウジ・ビジョン2030」の継続が不可欠だとした。
これに先立ち、サウジアラビア財務省は6月3日、IMFが2026年の第4条協議終了後に公表した同国経済に対する評価についても歓迎の意向を発表している(2026年6月8日記事参照)。
中東の関連情報は、イスラエル・米国とイランの衝突に関する中東情勢、各国の反応を参照。
(林憲忠)
(サウジアラビア)
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