パキスタン・パンジャブ州の産業政策、フセイン産業・商業・投資相に聞く

(パキスタン)

カラチ発

2026年07月03日

パキスタンのパンジャブ州は、国内4州の中で最大規模の人口(約12,800万人)を擁し、繊維や自動車などの製造業基盤の集積に加え、農業で高い成長潜在力を有する。同州のシャフェイ・フセイン産業・商業・投資相に、同州が目指す今後の産業政策の方向性や投資環境整備に向けた取り組みについて聞いた(ヒアリング日:521日、630日)。

写真 シャフェイ・フセイン産業・商業・投資相(ジェトロ撮影)

シャフェイ・フセイン産業・商業・投資相(ジェトロ撮影)

同相は、雇用創出を伴う産業化の加速に向け、国内外からの投資誘致を最重要課題に位置付け、「投資・貿易ハブ」としてのパンジャブ州の確立を掲げる。中核機関であるパンジャブ投資貿易委員会(PBIT)は、企業設立から許認可取得までを一貫して支援するワンストップ機能を提供するほか、州内主要都市に設置されたE-Bizセンターでは、オンライン手続きの導入により投資実行までのリードタイム短縮を進めている(2026年6月2日記事参照)。

同席したPBITのトランザクション部門ダイレクターのイムラン・アフマド・ハシミ博士は、「投資受け皿としてSEZや工業団地の整備が進展し、州内では既に18SEZが稼働している。最大10年間の所得税免除や設備輸入時の関税免除に加え、登記費用や印紙税の軽減、インフラ整備支援など、多層的な優遇措置を整備している。さらに6カ所のSEZを新設する計画だ」と言及した。

写真 PBITのイムラン・アフマド・ハシミ博士(ジェトロ撮影)

PBITのイムラン・アフマド・ハシミ博士(ジェトロ撮影)

同州が重点分野として掲げるのは、製造業、農業・食品加工、インフラ開発に加え、IT機器組み立てや電気自動車(EV)など新産業だ。再生可能エネルギー分野では、太陽光パネルの現地生産を促進するなど、産業高度化と電力の安定供給の両立を目指している。

日本企業について同相は、高い技術力と品質への信頼を評価しており、特に製造業を中心に協力余地が大きいとの認識を示した。2025年8月に同州のマリアム・ナワーズ・シャリフ首席大臣が日本政府に招かれ訪日した際は、廃棄物発電施設などに関心を示し、日本との関係強化に期待を寄せる言及があった。

パンジャブ州には、多分野の製造拠点である州都ラホールをはじめ、繊維業の中心地ファイサラバード、金属加工のグジュランワラ、農産加工のムルタン、太陽光・エネルギー分野で成長がみられるバハワルプール、スポーツ・医療器具製造で有名なシアルコートなど、多様な製造業クラスターが形成されている。日本企業向けに医療器具や既製服のOEM生産を手掛ける州内企業も立地しており、今後はIT、エネルギー、農業、繊維機械関連分野をはじめ、技術導入や生産性向上、サプライチェーン強化などの領域でも、日本企業との協業・ビジネス拡大が期待される。

(糸長真知)

(パキスタン)

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