米中西部の量子技術産業化を議論、産学官が連携強化
(米国)
シカゴ発
2026年06月08日
米国ウィスコンシン大学ミルウォーキー校(UWM)で5月28日、ウィスコンシン州内外の研究者や企業関係者が参加し、量子技術に関する会合が開催され
、米国中西部における量子技術の産業化とエコシステム構築の方向性について議論が行われた。同会合はウィスコンシン・テクノロジー・カウンシル(Wisconsin Technology Council、注1)が主催し、大学関係者、研究機関、スタートアップなどが幅広く参加した。
パネルディスカッションでは、中西部各州が、大学や国立研究所による強固な研究基盤と製造業の集積を背景に、量子分野での競争力を高めつつあるとの認識が示された。特にスタートアップは近年急増しているとの指摘があり、量子技術を測定や通信セキュリティーなどの分野に応用する動きが加速している。
また、シカゴ(イリノイ州)を中心とする地域では量子技術に特化したアクセラレーション・プログラムの実施やイリノイ量子マイクロエレクトロニクスパーク(IQMP)などの研究施設の整備が進み(2025年10月6日記事参照)、産業化に向けた支援環境が拡充している。ウィスコンシン州でも大学発技術の事業化を支援するプログラムの導入など、創業支援の取り組みが進展している。同州で2026年2月に開始された「ファウンダー・ファクトリー(Founder Factory)」
は、大学や研究機関の技術を基にスタートアップ創出を支援するプログラムで、起業初期段階に対する最大5万ドルの非希薄化資金(注2)やメンタリングなどを通じて、研究から事業化への移行を後押しする仕組みとなっている。
登壇者からは、量子分野の成長には高度研究人材に加え、製造、設備、ソフトウエアなど幅広い人材の確保が不可欠であり、産学連携強化が重要との認識が示された。また、この分野での競争は州の間で米国内のリードを争うものではなく、これまで培った州間の協力的な関係性を生かして、国際的な競争力を高めていくことが必要であるとの見解が述べられた。
量子技術は将来の計算や通信を支える基盤技術と位置付けられる中、中西部では州をまたぐ連携を通じたエコシステム構築に期待が集まる。参加者からは、政策支援や資金供給を含めた中長期的な取り組みの必要性が指摘されており、同地域が次世代技術拠点としての地位を確立できるかが注目される。
(注1)ウィスコンシン州の技術革新および起業環境の強化を目的とする非営利組織。州内の企業、大学、投資家、政策関係者を結び付ける役割を担い、スタートアップ支援プログラムの運営、政策提言、資金調達支援のほか、技術分野に関する会合やネットワーキングイベントを定期的に開催している。州のイノベーション政策形成にも関与するなど、地域エコシステムの中核的なハブとなっている。
(注2)出資者に株式(持ち分)を渡さずに受け取れる資金のこと。
(坂本陽平)
(米国)
ビジネス短信 f725d85d61405493





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