米イリノイ州知事、量子コンピューティングキャンパスで施設起工式を実施

(米国、オーストラリア)

シカゴ発

2025年10月06日

米国イリノイ州のJ.B.プリツカー知事(民主党)は9月30日、シカゴ市南部に建設される量子コンピューティングキャンパス「イリノイ量子マイクロエレクトロニクスパーク(IQMP)」の主要入居企業のサイクオンタム(PsiQuantum、本社:カリフォルニア州)の施設起工式を行った。サイクオンタムは実用的な「誤り耐性量子コンピュータ(Fault-Tolerant Quantum Computer)」を開発するスタートアップで、同施設は同社にとって初の米国での誤り耐性量子コンピュータの設置拠点となる。起工式にはプリツカー知事をはじめ、シカゴ市のブランドン・ジョンソン市長(民主党)、サイクオンタムのジェレミー・オブライエン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)、IQMPのハーレー・ジョンソンCEO兼エグゼクティブディレクター、電力を供給するコムエドの代表者、シカゴ市南部地域コミュニティーのメンバーなどが出席し、祝辞を述べた。

プリツカー知事は「本日起工する画期的なプロジェクトは、イリノイ州を量子イノベーションの全米有数の国内ハブとして確立すると同時に、数十億ドル規模の経済投資を誘致し、数千の雇用を創出する」と述べた。

サイクオンタムのオブライエンCEOは「米国最大の量子コンピューティングプロジェクトの着工は、多大な努力と緊密な連携、量子コンピューティングの潜在能力を解き放つという共通の決意のたまものだ」と指摘した。

IQMPのジョンソンCEOは「本日の起工式は単なる建設の開始ではなく、新たな時代の幕開けとなる。サイクオンタム、IBM、インフレクション(Infleqtion、本社:コロラド州)、ディラック(Diraq、本社:オーストラリア)、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が既に参加するIQMPは、北米最大の量子エコシステムへと成長しつつある」と述べた。

プリツカー知事は、量子コンピューティングへの投資を州の主要優先事項と位置付けており、州として巨額の投資をしている。2020年には量子研究ハブのシカゴ・クオンタム・エクスチェンジに2億ドルの投資を発表した。2024年には州議会でIQMP建設のための支援として5億ドルの投資が承認され、サイクオンタムには2億ドル相当の税制優遇措置(2024年8月1日記事参照)が決定している。

写真 起工式でスピーチを行うプリツカー知事(ジェトロ撮影)

起工式でスピーチを行うプリツカー知事(ジェトロ撮影)

(星野香織)

(米国、オーストラリア)

ビジネス短信 5666d6bb6673c01f