日本の名作絵本5,000冊、ウクライナの学校や図書館に寄贈
(ウクライナ、日本)
調査部欧州課
2026年06月11日
ウクライナの首都キーウで5月28~31日、第14回国際書籍見本市(インターナショナル・ブック・アーセナル・フェスティバル)が開催された。5月31日には、「ウクライナの子供たちのための日本の本-人道支援イニシアチブと文化パートナーシップ」と題するイベントが開催され、「ウクライナ絵本寄贈プロジェクト」の出版発表および贈呈式が行われた。
同プロジェクトは、日本の出版社「至光社」とウクライナ文化センター「ウクライナ・ハウス・ジャパン」、ウクライナの出版社「ラノク(Ranok)
」の主導の下、日ウクライナ両政府の協力で推進されており、翻訳・製本・配布などにかかる費用は全額、日本企業の寄付によって賄われている。ラノクより出版されたウクライナ語翻訳の日本の絵本5作品、5,000冊が、同国の学校や図書館などに寄贈される。
イベントには、中込正志駐ウクライナ日本大使やラノクのビクトル・クルグロフ社長らが登壇した。ラノクのクルグロフ社長は、「日本のウクライナ支援を見て、両国間の文化的な架け橋をさらに築く必要性があると感じていたため、日本のパートナーからの提案にすぐに賛同した。絵本は戦時下のウクライナの子供たちを支えるうえで重要な役割を果たす」と語った(「インターファクス・ウクライナ」2026年6月1日)。
至光社の武市春樹社長は、「戦争に苦しむウクライナの子供たちに、絵本を通して心の支えと困難に立ち向かう強さを伝えたいという強い思いが、支援活動の原動力となった。絵本には傷ついた心を癒やし、温かい想像の世界へ導く力がある」とコメントしている(ラノク発表5月30日)。
今回のプロジェクトで出版された作品は、「のらいぬ」「ゆきのひのたんじょうび」「どんくまさんのパン」「もりのあかちゃん」「はじめてのやまのぼり」の5作品。「はじめてのやまのぼり」は、上皇后美智子さまによる作品として知られている。これらの絵本の印刷は、ウクライナ東部ハルキウに所在する印刷会社ユニソフト(UNISOFT)が行った。同社は前線から約20キロメートルの場所で事業を継続しており、戦時下における事業継続の象徴的な事例といえる。
日本の絵本を通じたウクライナ支援は、人道支援、文化交流・相互理解の促進に加え、日本コンテンツの認知向上など、複数の側面での貢献が期待される。ウクライナにおける日本の書籍やマンガの市場は大きくはないが、若年層を中心とした需要の拡大を背景に複数の大手出版社が取り扱いを始めるなど、市場形成の成長の動きが見られる(2025年5月13日記事参照)。人道支援を起点とする日・ウクライナ文化交流のさらなる発展が期待される。
(ダリア・カラペトロバ)
(ウクライナ、日本)
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