ウクライナ最大規模のブックフェスティバル開催、大手出版社もマンガ市場参入

(ウクライナ、日本)

キーウ発

2026年05月13日

ウクライナ最大規模のブックフェスティバル、第5回「本の国(クニシコバ・クライナ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が4月23日から26日までの4日間にわたり首都キーウで開催された。2026年の来場者数は約7万1,000人となり、悪天候の影響で前年(2025年10月2日記事参照)より約2万人減少した。会期中の総販売冊数は8万5,000冊以上、総売り上げは3,200万フリブニャ(約1億1,520万円、1フリブニャ=約3.6円)を超えた(「ススピーリネ」4月28日)。

会期中、パネルディスカッションや作家とのミーティング、体験イベントなど500以上のプログラムが実施された。2025年に初めてマンガの取り扱いを開始した大手出版社「ビバト(Vivat)」と「ラボラトリア(Laboratoria)」による「マンガデビュー」をテーマとしたディスカッションでは、ウクライナにおけるマンガビジネスの課題について議論された。ビバトの編集者・翻訳者であり、キーウ・コミコンの共同創設者でもあるマリア・シャグリ氏は、マンガの版権交渉について、「欧米コミックでは数カ月で成立することが多いのに対し、マンガの場合は数年単位に及ぶこともあり、ライセンスエージェントを通じた契約の方が現実的な場合もある」と指摘した。また、日本の大手出版社はマンガ市場が未成熟な国へのライセンス供与に慎重であり、新規参入に当たってはライセンスを取得できる比較的知名度の低い作品を段階的に導入しながら市場を育てていく必要があると述べた。

ラボラトリアでマンガのビジュアル監督を担当するビタリヤ・コロベツ氏は、制作面での課題としてフォーマットの違いを挙げた。日本の単行本サイズはウクライナの一般的な書籍よりも小さく、既存の印刷設備では対応が難しい場合があるほか、読者もウクライナの書籍のサイズに慣れているため、発行の際はサイズ面での調整が必要になるという。

ウクライナ書籍協会(UIK)はウクライナのマンガ市場について、売り上げでは他の書籍ジャンルより劣るものの、読者が続編を求めて購入を続けるため、長期的な需要を創出しているニッチな分野だと指摘する。2025年に実施された政府による18歳以上向けの書籍購入補助金制度「e-Book」では、約14万人の18歳が約45万冊の書籍を購入し、そのうち、マンガが占める割合(売り上げベース)は約3.5%だった。

ウクライナのマンガ市場は、版権取得や制作設備などの課題を抱えながらも、大手出版社の参入や若年層の需要拡大を背景に、今後も成長が期待される。

(ダリア・カラペトロバ)

(ウクライナ、日本)

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