ラオス、著作権・著作隣接権に関する実務手続きを具体化
(ラオス)
ビエンチャン発
2026年06月01日
ラオスにおいて、著作権保護に関する下位規則「著作権および著作隣接権に関する大臣合意第1011号」が4月10日付で公布され、5月11日に官報
に掲載された。本規則は、2023年改正知的財産法の実施を補完する規則として、著作権などの保護、通知手続き、公正利用、ならびに代理人制度に関する運用方針を定めたもの。
ラオスはベルヌ条約(注1)の加盟国であり、著作権および著作隣接権(注2)は無方式主義の下で保護される。すなわち、作品を創作し、有形物または電子的な媒体に記録される時点で(同規則第5条)、登録手続きを要さず自動的に権利が発生する。他方、実務上は権利の所在を明確にし、侵害発生時の証拠を確保する観点から、ラオス商工省知的財産局に対して権利の発生を「通知」し、受領証を取得する運用がある(第7条)。通知は権利発生の要件ではないが、紛争時に権利帰属を推定させる有力な証拠となる(第9条)。
また、ラオス国内に住所または事業所を有しない外国の個人・法人が、ラオス国内で通知手続きや紛争解決を行う場合、知的財産局が認可した「知的財産登録サービス代理人」を通じて、手続きを行うことが求められる(第23条)。添付書類は英語での提出が認められるが、ラオス語訳を提出しなければならない(第8条)。
さらに、本合意において、権利者の許諾なく作品を利用できる「公正利用」に関し、判断要素が具体化された点も重要だ(第18条)。判断に当たっては、(1)利用の目的・性質、(2)権利者表示の有無、(3)作品の性質、(4)利用部分の量と質(実質性)、(5)市場への影響といった要素が総合的に考慮される。具体例として「引用」「教育および研究目的(注3)」「報道・ニュース」「視覚障がい者などのための利用」「コンピュータプログラム」「バックアップ・保存」などは、一定の条件下で許諾や補償なしに実施可能だ。他方、建築物著作物の複製、技術的保護手段(コピーガード)の回避、権利管理情報の削除などは認められない点に留意が必要だ(第16条、知的財産法第113条)。
なお、著作者に代わって利用許諾の交渉、使用料の徴収・分配などを行う非営利の集中管理団体については、2025年12月31日付「集中管理団体の設立に関する大臣合意第3456号」において設立・運営の枠組みが定められている(注4)。
(注1)ベルヌ条約とは、1886年9月9日に署名された文学的および美術的著作物の保護に関する条約およびその改正条約をいう。ラオスは2012年3月14日から加盟国となっている。
(注2)ラオスの著作権および著作隣接権の有効期間は知的財産法に基づき、一般著作権(作者の没後50年)、映画・映像作品(一般公開から50年)、写真・応用美術作品(制作から30年)、著作隣接権(実演、録音、放送の実施から50年)と規定される。知財に関する詳細は、「ラオス:技術・工業および知的財産権供与に関わる制度」を参照。
(注3)教育目的の複製は、商業的な出版または配布を目的としてはならない(第16条)。
(注4)集中管理団体として、(1)楽曲・歌詞および朗唱、(2)音声録音、(3)文学作品(詩、韻文、小説など)、(4)実演家・演出家、振付師、(5)映像作品(映画、ドキュメンタリーなど)、(6)放送作品、(7)美術・写真作品の7カテゴリーに原則1団体の設立を認められている。これを受けて、2026年3月にラオス作曲家著作権協会(LASCAP)が設立された。
(山田健一郎)
(ラオス)
ビジネス短信 caf694a64666846c





閉じる